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ページ22

#山田宅



「……何だよ。」


「別にー?三郎君も青春してるんだなぁって思っただけ。」


「はぁ!?Aとはそんなんじゃないから。」


「俺、Aちゃんが相手なんて一言も言ってないけど。」


「「……。」」


「……………、……あっち行け馬鹿。」


「へいへい」




まさか、いやまさか……。
二郎のヤツ、余計なこと言いやがって。


キッと睨んでやるが、既に背中を向けて鼻唄を歌う。全くもって気に留めていなかった。


そんな姿が余計に尺に障って、またモヤつく心情とも相まって三郎は一層の苛立ちを募らせた。






ガチャリ、解錠の音。





敬愛する兄に一番にお帰りなさいを言うのは自分だ、とほぼ反射的に二人は玄関に駆け込む。


しかし、姿を見せたのは一郎だけではなく、Aが控えめに後ろに立っていた。




「あれ、Aちゃんじゃん。どうしたの?」


「えっと、私、二郎さんにお礼を言い忘れちゃってたなと思って。」



一郎に促されて玄関に上がる。
改めて二郎の前に向き合う。


ありが、、



言い掛けた所で、バチンと額を弾かれた。急に何よ、と不満げに見やれば、勿論のことその原因は彼な訳で。


女の子には優しくしろよ、なんて忠告も聞き流して、三郎は久しく口を開いた。



「……お前は僕にだけ感謝してればいいの。」



「え、そうなの?」


「こんな能無しが役に立ったとは思えないしね。」



Aは顎に手を当てて考える。それから、三郎が言っていることは良く分からないけど、と前置きしてしっかり言い直した。


「ありがとうございました。」


「っおい!」


「はは、どういたしまして。」




.





一郎に上がっていくかと聞かれたが、宿題が終わっていないのでとあっさりAは帰ってしまった。


残された空間、今度は二郎のみならず一郎の視線までもが彼に集中した。




「やっぱAちゃんのこと好きだろ。」


「ばっ、違うし。」


「素直に嫉妬してるって言えば良かったのに。」


「誰が嫉妬なんかするか!」


「今日は赤飯かなぁ……」


「一兄まで!!」

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あぽろ(プロフ) - 描いて下さりありがとうございます…(?)めちゃくちゃいい作品で、びっくりしました…! (2021年5月1日 5時) (レス) id: a236361d3f (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - 茉莉さん» コメントありがとうございます。わー、そうなんですね!茉莉さんの推しのイメージを壊さないように頑張ります(^^) (2020年11月27日 19時) (レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
茉莉 - 更新お疲れ様です!!強盗役のラップ私も好きですwwしかも三郎くん私の推しなんで我得でしかない…//(キモい) 応援してます〜!! (2020年11月27日 17時) (レス) id: 78857a4183 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かにかま | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/0660ea0a062/  
作成日時:2020年11月26日 1時

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