おつかい ページ16
「何で着いてくるんだよ。」
「観察」
僕はモルモットじゃないんだけど、と不満気な視線を向ける三郎だったがご機嫌な彼女が取り合うことはない。
つい数分前のこと、三郎は一郎から買い忘れた中濃ソースのお使いを頼まれた。そして例のごとく、Aが「私も行く!」と言い出したのだ。
勿論拒否したが、効果はなかった。
「ここにもこのスーパーあるんだね。」
「そりゃチェーン店だし。」
「あ、ポイントデー火曜日だ。同じ!」
「………そりゃチェーン店だし。」
同じ区内に住んでいるとは言え、幾らか風景が違うらしい。別に珍しいものではないと思うが、彼女は辺りをキョロキョロ見回していた。みっともないからやめろ、と三郎は肘でこずいた。
「ソース ソース………あ、あった。」
「ブルドック?」
「いや、一番安いやつ。」
目的の商品を摘まんで、足早にレジに向かおうとした。すると、聞き覚えのある声が三郎を止めた。
「あれ、一郎んとこの弟じゃん。」
「…………、……どうも。」
飴村乱数、渋谷ディビジョンFlingPosseのリーダー。直接話したことは殆んどないが、一郎の古い知り合いだとかなんとかで顔見知り程度の関係にはある。取り敢えず会釈を返すと、後ろからひょっこりと二つの顔が覗いた。
「どうしたんだ、乱数?」
「帝統、急に止まらないでください………おや、山田兄弟の末っ子じゃないですか。」
「こんにちは。」
大きくなったな、なんて三郎の頭を撫でる二人。相変わらずツンケンした態度の彼を眺めていると、Aはふと溢れた一人と目があった。
三人の中でも特に幼い桃色髪の男性。じーっと見つめてくるので不思議に思って首をかしげると、ニッコリと微笑まれた。愛想笑い?
二三度瞬きした後、彼女も微笑みを返そうとするとずいっと反対方向へ引かれた。掴まれた左手。あ、三郎、いつの間に。
.
「へー、なるほどね。」
「ふふ、青いですねぇ」
「………お前ら、中坊をからかってやるなよ。」
そんな会話が為されている時には、二人は既に会計を終えていた。
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あぽろ(プロフ) - 描いて下さりありがとうございます…(?)めちゃくちゃいい作品で、びっくりしました…! (2021年5月1日 5時) (レス) id: a236361d3f (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - 茉莉さん» コメントありがとうございます。わー、そうなんですね!茉莉さんの推しのイメージを壊さないように頑張ります(^^) (2020年11月27日 19時) (レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
茉莉 - 更新お疲れ様です!!強盗役のラップ私も好きですwwしかも三郎くん私の推しなんで我得でしかない…//(キモい) 応援してます〜!! (2020年11月27日 17時) (レス) id: 78857a4183 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かにかま | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/0660ea0a062/
作成日時:2020年11月26日 1時