【hpmi】ハリネズミ系男子【山田三郎】

＊prologue ページ2

中三にもなれば、嫌でも意識するのは高校受験。


知的探究心ってやつのお陰で幸い勉強に苦労したことはなかった私だけど、何となく周りに合わせて学習塾に通いだした。



………とは言ってもやっぱり習うのは学校と同じことばかり。つまんないなぁ、こんなんなら家で録画したドラマの続きでも見た方がよっぽど有意義だ。なんて思っていたとき、




「……＿＿＿で、ここの三角形に三平方の定理を使う訳だ。」




(そんなの当たり前じゃん。)





一斉にメモを取り出した生徒達を尻目に、何となく視線をズラすと、同じように退屈そうにしている男子が居た。くぁあ、と欠伸を一つ。運悪く塾講師の目に止まった。




「お、山田は随分余裕そうだな。ここの答えは？」


「………√13π」


「正解。」


「ちなみに三行目から負号が反転してますよ。計算ミスには気を付けて。」


「…………………ハイ」




答えを出すどころか、講師にダメ出しまでする始末。その瞬間に私の関心は彼もとい山田三郎に移ったのだった。

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