#24 ページ25
(あ、そう言えば渡したい物があるの！)
クラピカ「渡したい物…？」
嫌な空気を緩和する様にそう切り出した。例のミサンガが入った包みを差し出すと、彼は不思議そうにそれを眺める。
クラピカ「私にか？」
(勿論。)
恐る恐る封を開け、キラキラと控えめに光を反射するそれを細い腕に通した。
(それはね、太平洋の色なんだって。)
クラピカ「へぇ…。」
(太平洋は世界の端っこと端っこを結んでるでしょ。だから、クラピカがどんなに遠いところに行ってもこの海みたいに穏やかで居られますようにって思って。)
クラピカ「A…。」
「ありがとうな。」と、クラピカは私の頭をぶっきらぼうに撫でた。それから、気まずそうに口を開く。
クラピカ「…また、すぐに発たないといけないんだ。」
(分かってたよ。その為のそれだもん。)
クラピカ「全てが終わったら、またお前と二人で暮らしたいな。」
(ふふふ、そうだね。)
寂しいけど仕方ない。
それが彼の夢を叶えるためならば。
私には背中を押すことしか出来ないから。
*
そんなこんなで最後にクラピカと会ってからもう半年近く経つ。
漸く寂しさにも慣れてきた、そんな頃合だ。
いつものようにカンタさんに揶揄われながら仕事をしていると、勢いよく開く扉の音とそれに連なる鈴の音が聞こえてきた。
不審に思って顔を向けると、そこにいたのは思いがけない人物だった。
(＿＿＿レオリオさん！？)
彼は私がいるのに気付くと、女将さんやカンタさんの呼び掛けも無視して、ずんずんと関係者以外立ち入り禁止の店奥に入ってくる。
そして、わたしの前でピタリと足を止めるとこう言ったのだ。
レオリオ「クラピカが大変なんだ！来てくれ！」
(クラピカが……？)
最初は無礼な客だと怒っていた女将さん達も、レオリオさんの形相から只事ではないと感じ取ったのだろう。
「店のことはいいから行ってきな。」と快く背中を押され、私は車に乗り込んだ。
(クラピカには何があったんですか？
今彼は何処にいるんですか？？
……あ、そっか。レオリオさんには聞こえないんだった。)
聞きたいことは山ほどあるのに、運転している彼にそれらをぶつけることはできない。
早く会いたい。
早くクラピカの姿を見たい。
これ程までに自分の失声症を惜しんだことは無かった。
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金糖の少女 - 恋愛感情で動きを変えないという解釈…！！わかります！！自分も同じ解釈なんですけど恋愛小説ともなると難しいのでどうしても解釈不一致な作品ばかりになってしまうんですよね…(急募 語彙力) (12月15日 16時) (
レス) @page46 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - ひぃさん» コメントありがとうございます。シリアスなシーンが多い彼なので、創作の中だけでもほっと一息つける瞬間があって欲しいなと思い書きました(^^) お返事遅れてしまいすみません。 (2022年7月8日 0時) (レス) @page49 id: a48c4b505b (このIDを非表示/違反報告)
ひぃ(プロフ) - めっちゃ面白かったです！読み終わったあと、心があったかくなった感じがしました笑 (2021年5月27日 9時) (レス) id: 21a845e247 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - 凛太さん» コメントありがとうございます。そう言っていただけると嬉しいです(^^) (2020年11月11日 10時) (レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
凛太 - めちゃ読みやすかったし、面白かったです！！！ (2020年11月11日 6時) (レス) id: caca9cc888 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かにかま | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/0660ea0a061/
作成日時：2020年4月12日 1時
