雪の華【煉獄杏寿郎】

訣別 ページ27

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「杏寿郎…任務、頑張ってね」


「うむ！任せろ！」


そう返してくれて目の前で屈託なく笑う杏寿郎を見て

いつもなら嬉しいはずなのに、この笑顔が好きなのに


何だか凄く心がもやもやする


上手く言えないけれど


このままお別れだなんて……




「……

寂しいなぁ……」


思わず本音が小さな声で漏れてハッとした


そっか、私は寂しいんだ


杏寿郎がいる事が当たり前になっていた


この"当たり前"が当たり前に続く保証なんて何処にもないのに



杏寿郎はこれから大変な任務に行くんだ


頑張ってほしいと思っているのに


自分の事しか考えられない私はまだ未熟だなあ



「ご、ごめん！

こんな事思っちゃいけないよね。今のは忘れて！


そ、それに話してくれてすごく嬉しい気持ちが大きいの。

ほんとだよ。


杏寿郎がそんな立派な仕事をしているなんて知らなかったから。

私の友達の煉獄杏寿郎はやっぱり凄く高邁な人なんだなって。

そんな杏寿郎と友達でいられてすごく誇らしいよ。
」



「A……」



少し照れ臭くなって下を向いてしまう

寂しいなんて口走ってしまったのを誤魔化そうとしたら勢いで本心がすらすら出てきて止まらなかった

それに、またいつもの調子と少し他の人より大きな声で
ありがとう！！と言われると思っていたから

まじまじと反応されたのが意外でこちらもふと我に返ってしまって恥ずかしい。




「…………でもね、寂しいっていうのもほんとなの。


私は杏寿郎に色んな世界を教えてもらったし、私の世界に彩りをくれたのが貴方だったから


また元の生活に戻るのかと思うと不安で仕方ない


……また世界に色が無くなって心が冷たくなるんじゃないかって。


でもそれじゃ駄目だから。

杏寿郎が私の知らない土地で任務を全うしている間、私も頑張るね。

今まで杏寿郎に守ってもらってばかりで、与えてもらってばかりだったから。


自分の力で今を変えられるように頑張ってみる。


ここから無事を祈ってる


待ってるから」

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