沖田さん、近づきすぎです【沖田総悟】

沖田さんを掴みたい6 ページ17

｢……A…さん？｣









｢……………お、沖田さん……。｣







しばらく、沈黙の時間が流れ、お互いの視線が絡み合う。


　


　


「きゃっ…！」








「危ねェ…っ」








人の波に押され、よろめいた私の手を、沖田さんが取ってくれた。









「ひ、久しぶり………ですね、沖田さん……///。お元気でした………？」







「えぇ…。大丈夫でさァ。ここじゃアレなんで、移動しやしょうか。」








「はい………。」









繋がれたままの手が熱を帯び、顔も耳も赤く染まっていく。








(………ドキドキしてるよ……)









会いたいと思っていた、沖田さんの背中がすぐそこに見える。引かれた手は私の手より少し大きく、かたい。







花火大会の人の賑わいも、雑踏も全部耳に入らない。









忙しく動く自分の拍動の音しか、聞こえなかった。









「ここなら、マシだろィ。」





沖田さんは、小高い丘のようになった人気の少ない所に連れて行ってくれた。一台のベンチに並んで腰を掛ける。







“Aさん、人混み苦手ですよねィ”と沖田さんが覗き込むので、目線を反らして頷く。









「……沖田さん、……お仕事は大丈夫なんですか…？」








「大丈夫でさァ、ここならバレやしやせんよ。」





　



にやっと、沖田さんは笑ってこちらを見た。

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