女子高校生と体育祭11 ページ29
「はぁーあ。」
私はと言うと、誰も寝ていないベッドに寝そべった。
「ダサいなー、ホント…。」
ただでさえ、足遅いのに、何やってんだろ私は。みんなの前で転けちゃって、沖田君にまで迷惑掛けちゃった。
「やだな、もう。」
結局、練習した成果はあったのか無かったのか。つくづく自分が無能に感じる。
窓のブラインダーの隙間から見える秋晴れの青空が清々しい。それを見ていたら、何だかもうどうでも良くなって来た。
「エスケープ……。」
escape━━━━逃亡、怠けて抜け出すこと。
青い空を見ていたら、たまには抜け出したりしてもいいんじゃないかなんて感じる。
すると、保健室の扉がガラガラと開いた。
「っ!!すいませんっ!!!」
ガバッと起き上がると、先生ではなく、沖田君だった。
「沖田君か…。」
私の行った先々で必ず出会う。なんでかな。
「先生だと思ったかィ?」
「…うん。」
「あり、元気ねーな。」
沖田君は向かいのベッドまで来て座った。ギシッとベッドが軋む。
「ごめんね、転けちゃって…。」
「アンカー、俺で良かったねィ。」
「…そうかも。」
「落ち込んでんじゃねーよ、たく…。」
沖田君は保冷剤を持ってくると、薄いガーゼで包んで私の足首に括りつけてた。
そして、ダンボールを持ってくると、 その上に私の足を乗せた。
「ダンボール…?」
「お前、この間ぐねって放置してたろィ。」
「うん。」
「同じ所やって、下手したら捻挫するかもしんねーだろ。」
沖田君曰く、捻挫は、患部を心臓より高い位置にしておくと良いらしい。
「凄い…。応急手当、上手なんだね…。」
「部活でこーゆーのは慣れてんでィ。」
“ほれ、出来た”と仕上げに包帯を施して、沖田君は再びベッドに座った。
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三日月夜丞(プロフ) - 冒頭の小説の説明から惚れました。「アンタが欲しい。力ずくでも。」ってナニソレ???????めちゃくちゃ惚れたんですが????????応援してます。頑張ってください。 (2020年9月28日 1時) (レス) id: a042f81cca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夕鈴 | 作成日時:2020年1月23日 1時