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「……あっ……と……まあ、そうですね。そういうことです」
少し間を開けて、桐峰さんが言う。
いや、うん。今思ったけど私凄いこと言った。いろんな意味で。恥ずかしい。
「確かに、貴女は今、このタイミングでいなくなられては未来にいる私たちにとって大きな変化が起こるのです」
「大きな変化、ですか?」
大きな変化とは、一体……
大きな変化って、私がいなくなってそれで何かが変わる。それが次第に大きくなって、綾斗さんや桐峰さんの時代になると大変なことになる、ということだろうか。
「まあ、基本的には貴女の子孫が消えること。もちろん、その中には歴史に名を残した人や、大きな事件に関わった人、それから国のお偉いさんもいます。つまり、貴女の子孫が消えると、私たちの時代も、この先も。全て変わってしまうのです。そうなると、全てが狂ってしまうのです」
桐峰さんの話を聞いて、うわあと思った。ていうかこれって私が凄いんじゃなくて、私の子孫が凄いってことじゃん。
国のお偉いさんって凄いじゃん。消えたら一大事だよ。
「貴女が消えることで、約何万人もの人たちの命が、この世から消え去ってしまうのですよ。小さな変化は、大きな事件を生み出すのです」
「な、なんか壮大ですね……」
小さな変化は、大きな事件を生み出す__
この言葉を聞いて、私はだんだん恐くなってきた。私がいなくなることで無くなる命。
ああ、やはり私はポンコツだ。
「そもそも、今の日本があるのは貴女が優秀な子孫を残してくれたからです。全て貴女から始まったも同然なのですよ。
そんな重大な存在がいなくなられては私たちが困ります。なので、貴女は絶対に元の時代に帰さなければならないのです」
恐怖という感情が顔に出ていたのか、桐峰さんは後半、とても優しい声でそう言った。
私はその声を聞いて、少し安心した。少し。
次の瞬間、視界が揺らいだ。
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ナツのツナ(プロフ) - ニャンコタルトさん» コメントありがとうございます!色々頑張りました!従姉妹凄かったです。逃げても隠れても追いかけてくる……恐ろしい年末でした。 (2018年1月1日 22時) (レス) id: ab0d102e88 (このIDを非表示/違反報告)
ニャンコタルト(プロフ) - 楽しみに待ってますよ~(≧∇≦)い、いろいろ頑張ってね...(^.^; (2017年12月30日 10時) (レス) id: 410be00c65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナツのツナ | 作成日時:2017年12月9日 12時