88 番外編:虎と鯰と鶴と獅子の大冒険 ページ46
五虎退side
ある日のことです。これは、みんなと海へ行ってからしばらく経った日の話です。
***
「……あ、あれ?虎くん?……いない」
内番が終わって、戻ってきたら、虎くんがいなくなってしまったようです。
「あ、あわわわ……と、虎く〜ん、どこぉ」
部屋を見回しても、通って来た道を戻ってもいません。いったい何処に行ってしまったのでしょうか……
「あれ?五虎退?」
「五虎退くん?どうしたの?」
困って、視界がだんだんぼやけてきたときに、前方から鯰尾兄さんとAさんが駆け寄って来ました。
「鯰尾兄さん……Aさん」
「わわっ、五虎退、どうしたの?転んじゃった?」
「ち、違います……と、虎くんが……」
「あ、虎がいない」
鯰尾兄さんが「そういえばさっき山の方に白い物体が行った気がする……」と考え込むような仕草をする。
や、山って、そんなッ!
「虎くんが……山に?」
「うーん、多分ね?」
「そんな……僕……山なんて……行ったことない……」
まさかの出来事に目頭が熱くなる。頬に冷たい水のような感触を感じて泣いていることに気づく。
「ああ、大丈夫!俺も行くから!ね?」
「え?」
目の前の鯰尾兄さんが僕の頭を撫でながら笑う。僕は兄さんに頭を撫でて貰うのが好きだった。
「だから、泣かない。俺も一緒について行って、虎を探す。そうだ、Aさんもどうです?」
鯰尾兄さんに言われてAさんが「ええと……」と返す。
「実は私、このあと燭台切さんにおつかい頼まれてて。大倶利伽羅さんと一緒に万屋行く予定なの。ごめんね、一緒に行けなくて」
「あ、いえ、大丈夫です!き、気持ちだけでも嬉しいです」
「そっか。じゃあ、頑張ってね。虎くん、絶対見つけてね」
「は、はいっ」
Aさんが去り際に頭を撫でてくれる。まるで勇気を貰ったみたいに、僕は今なら何も怖くはないと感じた。
「それじゃ、行こうか」と鯰尾兄さんが手を差し出す。僕は「はいっ」と言って兄さんの手に自分の手を重ねた。
ごっ五虎退、虎くんを探しに山へ出陣しますっ!
89 番外編:虎と鯰と鶴と獅子の大冒険(2)→←87 番外編:薬研藤四郎の1日(2)
53人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ナツのツナ(プロフ) - ニャンコタルトさん» コメントありがとうございます!色々頑張りました!従姉妹凄かったです。逃げても隠れても追いかけてくる……恐ろしい年末でした。 (2018年1月1日 22時) (レス) id: ab0d102e88 (このIDを非表示/違反報告)
ニャンコタルト(プロフ) - 楽しみに待ってますよ~(≧∇≦)い、いろいろ頑張ってね...(^.^; (2017年12月30日 10時) (レス) id: 410be00c65 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ナツのツナ | 作成日時:2017年12月9日 12時