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名一杯遊んで、いよいよ帰る時間になった。
短刀くんたちの中には遊び疲れて寝ている子もいる。



そんな子たちは大きい刀に背負って貰うことにした。






「いやあ、随分ぐっすり眠っているねえ」




今日一日ほとんど一緒にいた青江さんは眠っている今剣くんを背負いながら言う。





「あんなにはしゃいでましたもの。たくさん遊んで、疲れたんですよ」




私は自分の荷物と、青江さんの荷物を持ちながら言う。




前では粟田口兄弟たちが楽しそうに自分たちの兄弟と話している。






「彼も大変そうだよねえ」





彼、とは一期さんのことだろう。
私は荷物を持ち直す。





「まあでも、兄弟っていいなあって思いますよ。何て言うか、微笑ましいです」





「『羨ましい』ではなくて?」





「……羨ましくもありますよ」






「君には兄弟がいないのかい?」






青江さんが私の顔も見ずに、口角を上げた。
きっと彼は、前の集団を見て、微笑ましく思っているのだろう。






「いましたよ。兄が一人」






「へえ。仲は良かったのかい?」







「ええ。小さいころ、今日みたいにたくさん遊んでもらいました」







「それはそれは」







それだけ言って、彼は黙った。
だから私も、もう何も言わなかった。







前方に本丸が見えた。



日は西に沈み、もうすぐ暗くなる。
長かった一日も、もうすぐ終わる。
ヒグラシの声を聞いて、ちょっとだけ寂しく感じた。



その寂しさは、あの日の思いが蘇ったやつなのか、それともただの気のせいなのか。私には分からなかった。

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ナツのツナ(プロフ) - ニャンコタルトさん» コメントありがとうございます!色々頑張りました!従姉妹凄かったです。逃げても隠れても追いかけてくる……恐ろしい年末でした。 (2018年1月1日 22時) (レス) id: ab0d102e88 (このIDを非表示/違反報告)
ニャンコタルト(プロフ) - 楽しみに待ってますよ~(≧∇≦)い、いろいろ頑張ってね...(^.^; (2017年12月30日 10時) (レス) id: 410be00c65 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナツのツナ | 作成日時:2017年12月9日 12時

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