71 ページ29
「わ……!見て、Aちゃん!貝殻見つけた!」
パラソルの下にビニールシートを敷いて、座って海を眺めていると、乱が桜貝を持って嬉しそうにサンダルをパタパタさせて此方に来た。
「おお、綺麗なの見つけたね」
「俺はワカメを採って来ました!」
横から鯰尾くんがワカメを掲げて笑っている。骨喰くんに至っては頭にワカメを乗せていた。
それで平然としているから逆に笑えてくる。
「気にするな。いつものことだ」
いつものことなんだ。
「おい国広!見ろよこの魚!」
「凄いよ兼さん、こんなに大漁に……」
「わお、今夜は魚料理かもね」
海の奥の方では和泉守さんと安定くんが魚を獲っている。素手で。
毒を持っている魚もいるから気をつけてと先程言ったのだけれど、彼ら聞いてたかな。
「おや?君は泳がないのかい?」
頭上から声がしたので顔を上に向ける。声の主は青江さんで、青江さんは私の隣に座った。
泳がないのかと言われても荷物見ているから泳ごうにも泳げない訳で。
といっても私はただの付き添いなので別にいいというか。
「もしかして、泳げないとか?」
「まさか。これでも十歳くらいまで水泳習ってましたからね」
すると青江さんは「え」と声を出した。「君、十歳じゃないんだ……」と。
十歳って違うわ。六歳も違うわ。
「十六歳の現役女子高生ですけど」
そう言うと青江さんは苦笑いをした。そして「ひ、人それぞれだよね。うん。別に全くないってわけじゃ……あ、うん、人それぞれだよね」と言った。
どこ見て言ってるんだこの人は。
言ってることは正しいけれども。
ボンッキュッボンッなんて存在しなかったんだ。
53人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ナツのツナ(プロフ) - ニャンコタルトさん» コメントありがとうございます!色々頑張りました!従姉妹凄かったです。逃げても隠れても追いかけてくる……恐ろしい年末でした。 (2018年1月1日 22時) (レス) id: ab0d102e88 (このIDを非表示/違反報告)
ニャンコタルト(プロフ) - 楽しみに待ってますよ~(≧∇≦)い、いろいろ頑張ってね...(^.^; (2017年12月30日 10時) (レス) id: 410be00c65 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ナツのツナ | 作成日時:2017年12月9日 12時