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綾斗さんがそう言うと、桐峰さんは「そうですか」と少し残念そうに言い、襖を開けた。
「また何かあれば来ます。それと、Aさん。恐らくその携帯は本丸内や政府……“現代”の電話機器には繋がると思います。是非試してみてください」
そう言って桐峰さんは部屋から出て行った。護衛の人と、綾斗さんが慌ててそれを追った。
携帯……現代では使えるって言ってたよね。でも使い道ないよね、これ。
私は手元の携帯を見ながらそう思った。
「さて、今日の大行事も終わったし、俺は仕事に戻る」
「あ、はい。お疲れ様です」
そうして長谷部さんも部屋から出て行った。長谷部さんって社畜っぽいとか思ってなくはない。
……お茶、片さなきゃ。
不意に視界に入った湯飲みを見て立ち上がる。
座蒲団を全部重ねて、隅にやって。
床に放置されっぱなしのお盆に湯飲みを乗せて。部屋を出た。
丁度お昼時だし、厨に行けば誰かしらいるだろう。
庭では、短刀くんたちと鯰尾くんが楽しそうに遊んでいた。平和だな、って思った。
『いつか遡行軍は貴女を狙いにここを攻めに来るでしょう』
私がここにいる限り、いつかは遡行軍がここに攻め入るだろう――
いやはや、これじゃあ私はとんだ疫病神じゃないか、と庭で遊ぶ彼らを見ながら思った。
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ナツのツナ(プロフ) - ニャンコタルトさん» コメントありがとうございます!色々頑張りました!従姉妹凄かったです。逃げても隠れても追いかけてくる……恐ろしい年末でした。 (2018年1月1日 22時) (レス) id: ab0d102e88 (このIDを非表示/違反報告)
ニャンコタルト(プロフ) - 楽しみに待ってますよ~(≧∇≦)い、いろいろ頑張ってね...(^.^; (2017年12月30日 10時) (レス) id: 410be00c65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナツのツナ | 作成日時:2017年12月9日 12時