chapter5 ページ6
「ねえ、A。今度ご飯でもどう?」
「えっ…あーええ、そうね」
突然のことに虚を衝かれたように慌ててしまう。私はしっかり返答をすることが出来たのかも分からない。けど、連絡先に追加された「赤葦京治」という名前と「今日は空いてる?」なんてメッセージに私が慌てていた事の現実を突き詰められた。
─マズイ
──非常にマズイ
事務所に戻り午前中にやっていた機械的な作業を再開しながら、考えるが試行錯誤しているつもりでもさっきから同じ発想に立ち続けている気がする。
悩んでいてもメッセージは送られてくるもので、結局今日ご飯に行くことになってしまった。
嫌だなーなんて考え作業をしていたときだ。
「おーっす園山」
オフィスのドアが開く音がして、軽い声が飛び込んできた。
──この声は。
出たな、黒尾鉄朗。最近、「サイキックオフィス」を喫茶店代わりにして定期的に訪れている。むすっと椅子ごと振り返る私に、
「お元気?」
なんて、相わらず人を喰った笑顔を向けてくる。3ヶ月前程私が入社したばかりの頃に、バレーのクラブチームが使用している体育館に妙な噂が流れ、実際にボールをしまっていたはずなのに次に来た時にはボールが散乱している。控え室のとあるロッカーを使った者が、相次いで事故に遭う。それも事故に遭った3人全員が階段から突き落とされたという妙な話だった。幽霊を見たとまで証言する選手が出てきてはクラブチームも放置しておくわけにはいかなかったのか、日本バレーボール協会競技普及事務部の黒尾さんが責任者となり、「サイキックオフィス」に依頼を持ち込んだ。結果は人型を使った厭魅の法。ロッカーを使用する者を呪い、倉庫を呪う。犯人はクラブチームの関係者で、それなりに大変な調査だった記憶がある。
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れーと - こういうお話大好きです。最後まで頑張ってください。 (12月10日 16時) (レス) @page13 id: 18437b55a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒猫 | 作成日時:2023年8月24日 14時