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chapter11 ページ12

東京、渋谷。「サイキックオフィス」で私はビデオテープの整理をしている。あいつに対する怒りに駆られながらせっせとビデオテープの整理をしていたら、ドアが開いた。


お客さんだと、慌てて笑顔をこさえ、きびきびと立ち上がったら無駄な労力だった。


……またか。


「こんにちは」


黒尾さんが暢気そうな顔で手を挙げた。先々週も来てたよなこいつなんて思う。


「もう夏だね園山。俺アイスコーヒーが飲みたい」


「お客さんでもない黒尾さんに、お茶をだせ、と?ご依頼の間違いでなくて?」


黒尾さんは情けなさそうな表情をする。


「冷たいなー、園山頼むよアイスコーヒー。外回りで疲れてんだ」


ここはいつから喫茶店になった。……心の中で呟きながら私は座り直した椅子から、改めて立ち上がる。


「分かりましたよ。アイスコーヒーですね」


言ったその時だった、所長室のドアが開いて所長が出てきた。


「園山さん、お茶……」


言いかけて、黒尾さんを見て眼を見開く。


「…なんの御用ですか?」


「近くに寄ったからさ」


黒尾さんがにこやかに手を振り、「ここは喫茶店じゃないんですけど」と言う所長を横目にキッチンへ向かう。アイスコーヒーとアイスティーが置かれたトレイに視線を落とし、少し考えてから私はクッキーを追加した。


トレイを持ち上げキッチンを出た途端、計ったようなタイミングで黒尾さんは私の前にやって来た。


「もうお昼の時間だし、一緒に外に食べに行こうよ」


キッチンにある時計に眼を移すと針は12時過ぎを指していた。でも、まだ仕事とお茶を出さなきゃとトイレに視線を戻すと黒尾さんは分かりきったように口を開く。


「林所長は仕事はお昼から戻ってきてからでもいいって。早くアイスティー置いてきな」


そう言うと黒尾さんはトレイからアイスコーヒーを持ち上げた。

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れーと - こういうお話大好きです。最後まで頑張ってください。 (12月10日 16時) (レス) @page13 id: 18437b55a7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒猫 | 作成日時:2023年8月24日 14時

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