屑には屑を。【ハイキュー】【赤葦京治】【黒尾鉄朗】 (ページ11)

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chapter10 ページ11

恋をしている人の瞳が私は苦手、それは恋を知らない私に眩しくて。熱をはらんだその瞳で見つめられると、何かが崩れていくような焦がされるような、痛くて、熱くて──

──そこから逃げ出したくなる

「俺のことどう思ってる？」

「…京治は京治よ」

1歩後ずさるが京治は掴んだ腕を離さない。

「…またそうやって逃げるの？俺がそういうことを聞いていないって気付いてるのに？5年前も今も」

「……………はぁ…」

私は胸の中をからっぽにするぐらい深いため息をふいてから、京治の手を振り払った。

「…何か女の子を連れ込みやすいよ。そんな形跡ないじゃない」

…洗面所にもお風呂にもキッチンにも女の子が使うようなモノなんてひとつも見当たらなかった。

京治は「バレた」とはにかみながら体を投げ出すように横たわる。

「5年前から連れ込んだ女の子なんていないよ。Aとの思い出を上書きされたくなかった」

「………バッカじゃないの」

「そうだね、Aのことになると俺はバカになるみたいだ。いつ戻ってきてくれかなんて分からなかったけど、ずっと待ってた」

京治は悲しそうに言った。凄く悲しそうで、消えいりそうだった。

「A……俺は……」

私はその先を聞くのが怖くて、近くにあった京治の服を投げ付けて逃げ出した。

外は雨が降っていたけど、お構い無しに走った。雨は肌に容赦なく当たり、パシッハシッと音を立てて跳ね返る。

私──何してるんだろう。