Eightmirror ページ10
「ない、どこに行ってしまったの…」
彼との食事会が終わった後も再びカチューシャを探すために家中を歩き回っていた。
(心なしか今日の彼いつもと違ったような気がするわ。疲れていたのかしら。)
廊下には自分の足音がカツカツと冷たく響いている。
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左頬のアザを化粧でうまく隠していたり、カチューシャをギリギリの時間まで探していたりしたせいで少し時間が遅れてしまった。
「すみません。お待たせしました！」
彼「全然大丈夫だよ。あれ？いつもつけているカチューシャは今日はしていないの？気分転換？」
彼の優しい笑顔に心が温かくなるのを感じる。
「…違うの。朝起きたらなくなっていてね…。今探しているの。」
心配をかけたくなくて、誰かに盗まれたというのは隠した。
彼「…そう。」
(？？)
彼への違和感は食事が終わったあとも尚続いていた。
「今日はありがとう。楽しかったわ。次が待ち遠しい。」
「あぁ、僕もだよ。じゃあ、ね。」
_________________________
彼の後ろ姿を思い出してまた胸騒ぎがした。
いつの間にか外に出ていて少し肌寒い。
(…心配いらないわ。だって彼はわたしの味方だもの。)
空は朝とは違ってどんよりとした灰色だった。
(��あの日��も、お祖母様が亡くなった日も同じ空だったわ。)
無性に泣きたくなって目を閉じる。
(？？)
ふと視線を感じて横を見ると、小さな森が広がっていた。
(この森…。懐かしいわ。小さい頃よくお祖母様と遊びに来ていたわね。)
なんで今まで忘れていたのだろうと誰かに導かれるようにして森に入っていく。
見渡す限り緑で綺麗な花がそこらじゅうに咲いていた。
「あぁ、人の目がないのってこんなにも気分がいいのね。」
可愛らしい花や小さな動物に無意識に笑顔がこぼれる。
しばらく歩き、ちょうどいい木の陰に腰をかける。
開けた木の間から空を見上げてみる。相変わらず空は嫌な色に染まっているが、森から見るそれはなぜだか美しく思えた。
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たるる(プロフ) - 愛月咲良さん» 有難うございます！！嬉しい限りです。この作品と出会ってくれて有難うございます！！！ (2021年8月2日 22時) (
レス) id: 6b45a8b4d9 (このIDを非表示/違反報告)
愛月咲良(プロフ) - すっごく好きです…！！この作品と会えて凄く嬉しいです！ (2021年8月2日 9時) (レス) id: 4a6d894003 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たるる | 作成日時：2021年4月19日 17時
