Seventeenmirror ページ19
貴方side
私は冷たい牢屋にいた。部屋には藁と水が入ったバケツが１つだけ。
バケツを覗くと顔の原型をとどめていない醜い私がいた。
涙を流すたび、裂かれるような痛みが走る。口の中はまだ血が出ていてずっと鉄の味がする。
(せめて、カチューシャに触れていたい。最後くらいお祖母様と居させてよ。)
部屋の隅で身を縮こまっているとふと、手にふわふわとした感触があった。
顔を上げるとウサギがいた。
白い毛並みにピンク色の目、長い耳の先は少し茶色になっている。
『貴方、何処から来たの？ここは危ないから早くお逃げなさい。』
そう言うとウサギは壁にぴょんぴょんと飛び跳ねた。
『出られなくなったの？貴方も私と同じね。囚われの身。』
目を細めるウサギを優しく撫でる。
(来世はウサギになるのもいいかもしれないわね。)
死ぬことを受け入れている自分に苦笑いをこぼす。
すると暗い廊下に明かりが灯った。それはカツカツと音を立てこちらに近づいてきた。
「姉様御機嫌よう。醜いお姿ね。」
『アカリ、、何しにここへ？』
牢屋の前には煌びやかなドレスに身をまとった妹がいた。
「貴方、もう直ぐ死ぬでしょう？だから最後にお別れの挨拶に来たのよ。」
『そんなの必要ないわ。それよりもカチューシャを返してちょうだい。』
そう言い放つと彼女は私の髪を強く引っ張った。
「生意気な口ね。身の程を弁えなさい。貴女は私に膝間付く立場なのよ？」
『誰が貴女なんかに、、！そう威張ってられるのも今のうちよ？今まで貴女の仕事をやっていたのは誰かしら？貴女がか弱いオヒメサマを演じられた裏には誰がいたのかしら？』
『私が死んだらすべて白紙に戻る。貴女も私と同じ人生をたどるのよ！』
「黙りなさい！私はあんたとは違う！優秀なの！美しいの！愛されてるの！あんたが立っていた場所こそ私に相応しいのよ！！」
「私は悪くない。もともと私がいるはずだった位置を奪い返しただけだもの。」
彼女が言い放つと私の影からウサギが出てきた。隠そうとするも遅かった。
「可愛らしいウサギね。醜い貴方にはもったいない。さぁ、こっちにおいで。」
ウサギは彼女の伸ばした手に近づく。
(やっぱり囚われの身は私一人だけね。)
悲しく思うも私が死んでしまったらウサギは一人になってしまう。ならば彼女と暮らす方が幸せなのかもしれない。
あと5cm、手がウサギに触れる。
「きゃー！！！」
『っ⁉⁉』
ウサギは彼女の手を噛んでいた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 74人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たるる(プロフ) - 愛月咲良さん» 有難うございます！！嬉しい限りです。この作品と出会ってくれて有難うございます！！！ (2021年8月2日 22時) (
レス) id: 6b45a8b4d9 (このIDを非表示/違反報告)
愛月咲良(プロフ) - すっごく好きです…！！この作品と会えて凄く嬉しいです！ (2021年8月2日 9時) (レス) id: 4a6d894003 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：たるる | 作成日時：2021年4月19日 17時
