Ninemirror ページ11
バン！！バン！！銃声が響いた。木の上で羽を休めていた鳥たちがバサバサと一斉に空へと羽ばたいて行く。
(！？なぜ銃声が？この森では“争い事は御法度”なはずよ！)
(？どうして御法度だってわかったの？私はこの森のこと知らないのに。)
「…今は関係ないわ！この森に人の私利私欲のために血を流させてはダメよ！」
自分の身の危険など御構い無しに音のなったところへ走った。
どのくらい走っただろうか、口からはヒュッ、ヒュッなどとおかしな音が出ている。喉が焼けるように熱くて口からは血の味がする。頬のアザもじんじんと痛む。
「…誰も…何もいない。」
間に合わなかったのだろうかという言葉が頭をよぎる。その時だった。右の草陰でカサッと音がした。
(！動物？それとも…)
心臓をばくばくと鳴らして草陰に近づく。
そこには1匹の狼と鹿がいた。
濃い焦げ茶色をした毛並みに翡翠に輝く瞳を持った狼に、ミルクティーのようななめらかな毛並みにパールのような瞳をした鹿。
あまりの美しさに息を呑む。
(こんな綺麗な狼も鹿も見たことがないわ。)
(まるで“この世界”の生き物じゃないみたい。)
さらに驚くことにその狼は鹿を守るように前に立ちこちらに牙を向けて威嚇をしていたのだ。
「っっ！貴方足怪我してるじゃない！」
鹿は足から血を出し、狼は衰弱していた。
一歩近づくと狼はさらに牙を向けた。鹿はまつ毛を揺らして怯えていた。
「大丈夫よ、私は貴方たちに危害を加えない。絶対に」
そしてゆっくりと手を差し伸べた。
すると狼が手に向かって噛み付いてきた。白い手から血が流れる。
「…。大丈夫よ、怖くない。安心してちょうだい。」
顔が痛みで歪むのを必死で抑えて笑顔を作る。
しばらくしてヴヴゥ"ゥ"と唸っていた狼は噛む力を緩め、そして倒れてしまった。
(よかった。眠っているだけね。よっぽど疲れていたのね。)
狼を優しく撫でる。
キュュュン。鹿が狼を心配するように鳴いた。必死に怪我をした足を引きずってこちらに近づこうとする鹿に優しく笑いかける。
倒れてしまった狼を優しく抱き上げ鹿の近くに寝かせてやる。
「大丈夫。疲れて眠ってしまっただけよ。それより貴方足を見せて、怪我が悪化しちゃう。」
鹿はこちらの言葉が理解できているように、耳をピクピクと戸惑ったように動かしこちらを不安げに見つめてくる。
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たるる(プロフ) - 愛月咲良さん» 有難うございます！！嬉しい限りです。この作品と出会ってくれて有難うございます！！！ (2021年8月2日 22時) (
レス) id: 6b45a8b4d9 (このIDを非表示/違反報告)
愛月咲良(プロフ) - すっごく好きです…！！この作品と会えて凄く嬉しいです！ (2021年8月2日 9時) (レス) id: 4a6d894003 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たるる | 作成日時：2021年4月19日 17時
