5 ページ8
「忘れろ」
「え...？」
しん、と静まり返った部屋に響いたのはアバッキオさんの抑揚のない冷たく冷えきった声だった
今、"忘れろ"と彼は言った
貴方の存在を？それとも、今までの事全てを？
それは拒絶でも、許容でもないただの"抹消"
私にとっては最も酷な言葉＿
私はその言葉の衝撃でついガタリ、と椅子から立ち上がってしまっていた
アバッキオさんは動揺した私を見上げて続ける
「A、お前が警官になったんなら尚更だ。忘れろ、と言ったんだ。職務を放棄して此処へ来たような奴は＿俺は知らねー」
「...！」
じわり、と涙が再び両眼に滲む
返す言葉もない、もしアバッキオさんなら私事よりも為すべき仕事を優先しただろう
それを私は＿彼に憧れて何でも真似してきたはずだったのに
私はただ、彼の真似をしてはそれに自己満足していただけだったのだ
それでも私は未だ彼の前に立ち塞がるの？
もう恐らく消えて欲しいはずなのに
「私、多分アバッキオさんに近づきたかったんだと思います」
「...」
「いつもスマートで、私みたいな人に声をかけられても嫌な顔せずにいつも色んな話をしてくれて」
自分でも良く分からない内に次々と言葉が喉の奥から飛び出した
私は警帽を指で摘まんで深々と被り直す
憧れの彼の前で溢れ出す涙を見られたくなかったから
だってアバッキオさんは泣いたりしないもの
ほら、私の知らぬ間に辛いことに遭遇していたのに、こんなに我慢した顔してる
「私、やっぱりアバッキオさんみたいになれないよ」
彼の仲間の前で私は嗚咽を洩らしながら泣いた
自分の今の姿に幻滅した
途端ガタッ、と椅子を引く音が聞こえて顔を上げると大きくて冷たい両手が私の頬を包み込む
頬を止めどなく流れる水が彼の指にグイグイと乱雑に拭われた
「俺になろうとするんじゃあねーよ、俺はAに憧れてほしくなかった。
でもな、お前と居るときは自分が自分らしく居れた気がする」
警帽を取られ、頭をポンポンと撫でられる
あの頃と同じ、大きくて優しい彼がそこに居た
＿
「A。ご苦労さん」
「ブチャラティさん、ご苦労様」
軽く礼をして私は白いスーツの男に笑いかける
よせ、と言いながら例の彼は仲間に押されながら私の前に出てきた
「こんにちは、アバッキオさん」
「＿おう」
彼はぶっきらぼうに呟くと私の頭を撫でて去っていく
あぁ、
私の憧れたその手の温もり、一生忘れない
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 148人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
【ジョジョ５部】In una notte insonne �供效司埆検� 【ジョジョ5部】Another killer Brezza Rrimaverile Michelangelo【5部】もっと見る
「ジョジョの奇妙な冒険」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
RIOT(プロフ) - こちらの作品を読んで頂きました皆様、誠にありがとうございました。本日をもちまして、この小説は続編に移行することとなりました。今まで読んでくださり、ありがとうございました。続編でお待ちしております。 (2019年2月11日 16時) (
レス) id: b929e6efef (このIDを非表示/違反報告)
RIOT(プロフ) - 高杜さん» ありがとうございます〜！結局夢主も依存してるっていう共依存になっちゃったんですけど、凄く楽しく書けたので良かったです。是非これからもよろしくお願いします！ (2019年2月11日 15時) (レス) id: b929e6efef (このIDを非表示/違反報告)
高杜(プロフ) - フーゴくんのお話とっても良かったです…！！本当にありがとうございました！これからの更新も楽しみです、応援しています！ (2019年2月11日 12時) (レス) id: c2df969f37 (このIDを非表示/違反報告)
あいすすとろべりー(プロフ) - またリクでブチャラティとアバッキオが夢主ちゃんを取り合いする奴をお願いします！ (2019年2月10日 23時) (レス) id: d243ef7454 (このIDを非表示/違反報告)
カト☆(プロフ) - またまたリクエストよろしいでしょうか...？！よろしかったらポンペイ組をお願いします！ (2019年2月10日 3時) (レス) id: f4cd32f168 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：RIOT | 作成日時：2019年1月17日 18時
