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歴史書 中也side ページ24

「昔々、荒れ狂う海に悩む、一つの国がありました。悩んだ王様は、その海の支配者である人魚にある提案をしたのです。」



太宰はスラスラと話し出す。

俺の目を見て離さない。何もかも見透かすようなその目が、大嫌いだ。



「“人魚で一番の魔力を持つ者に、王家の人間を1人差し出す。それと引き換えに、海を安泰に保ってほしい”………ってね?」



太宰の口角が薄っすらと上がる。



「………なんで、知ってやがる」

「私は頭が良くてね…Aの持っていた本、解読できちゃった」



太宰が、先程から読んでいた本の表紙を見せる。それは、いつの日かAが俺に見せてきた、あの本だった。

中身は全て、人魚の文字。暗号だらけの配列で、普通の人間が読めるはずなかった。



「私はAとの結婚を真剣に考えている。そんな相手国の歴史を学ぶのは当然だよね?」



“彼女は理解できてなかったみたいだけど”

余裕そうな態度にイライラが募る。ここまで化け物だとは思わなかった。

この国と人魚の歴史は、ここの王しか知らないはずだったのに。王は人魚との契約をする為に、人魚の文字が読めるように幼い頃から教育を受ける。

人間が習得するには、4、5年ほどかかるはずなのに、こいつは、こうもあっさりと…。



「最後に王家の人間が犠牲になってから約300年か……人魚の寿命を考えると、もう既に代替わりしていても可笑しくないよね…。
今、海の守護を担ってるのは誰だろう?男性の人魚かい?その人魚はもうお嫁さん貰ったのかな?」

「手前に教える必要は無ェんだよ。失せろ。それ以上何か喋ったら、ぶち殺してやる」



太宰。こいつのせいで、俺の生活はめちゃくちゃだ。こんな馬鹿みたいな暮らしをしたくてここに来たんじゃない。



「もし、君が一番力を持つ人魚なら…

もしかして、王家の血を引くAを攫いに来たのかな?」



ガタンッーーー


我慢できずに近くの椅子を蹴る。

Aに、ものは大切に扱うよう言われていたが、今回ばかりは感情を抑えられなかった。



「冗談じゃねェぞッ‼俺はAをそんな生贄じみたモンとして見てねェ‼あいつを心の底から愛してンだ…!手前よりもずっとな!」

「ふーん…たかが人魚の分際で?」

「黙れ。この国がどうなっても知らねェぞ。そうなれば、Aが悲しむな」

「…もう隠す気は無いんだね?」

契約 中也side→←暗い海


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ヨモギ雲(プロフ) - チョコさん» こんにちは、コメントありがとうございます!4期見ています!出番が少ないながらも、相変わらず中也さんかっこいいですね…!✨ (2023年3月30日 23時) (レス) id: 8cd691db0d (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - この話し面白くて見てます!そういえば、文スト4期始まっていますよ!! (2023年3月21日 13時) (レス) @page25 id: d38db6c248 (このIDを非表示/違反報告)
ユエ - こちらこそ返事ありがとうございます。作者様のペースで大丈夫です。今後も期待しています! (2021年6月29日 18時) (レス) id: 007fbd0124 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモギ雲(プロフ) - ユエさん» コメントありがとうございます!ダラダラ更新で本当に申し訳ないです(汗)頑張ります! 7月からでしたっけ…?一期がまた見られるらしいですね、楽しみです! (2021年6月29日 0時) (レス) id: 4c88579f44 (このIDを非表示/違反報告)
ユエ - いつも楽しませてもらってます。そういえば文ストの再放送がやるみたいですよ。 (2021年6月28日 7時) (レス) id: 007fbd0124 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ヨモギ雲 | 作成日時:2021年1月22日 13時

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