薬指に契約を【文豪ストレイドッグス】

晩餐 ページ21

夜、大広間で夕食を食べている時だった。



『中也、ナイフとフォークの使い方上手になったね』

「そ、そうか？」

「まだまだ優雅さに欠けるけどね」

「あ!?」

『…中也、溢れちゃうよ』



隣でガタッと音を立てて、立ち上がる中也。いつの間にかこの光景に、私はすっかり慣れていた。

不服そうに夕食を頬張る中也。なんか可愛い…

目の前に座る治が、空気を仕切り直すように小さく咳払いをした。



「そう言えばA、そろそろじゃないかい？」

『あぁ…確かに、もう1ヶ月後だね』

「むぐ…何のことだ？」

『舞踏会のことだよ』



一年に一回はある、国同士の交流会の一つ。

今回の会場は私の国なので、おそらく例年より忙しくなる。失礼のないように振る舞わなければ。

それに、お父様と一緒に挨拶もするんだっけ…うぅ、緊張する。



『舞踏会は他の国との大切な交流の場なの。パーティーみたいな感じかな？』

「やっぱりメインはダンスだね。まぁ、蛞蝓には無理だろうけど」

「はっ、馬鹿にすんな太宰。あと1ヶ月あるんだろ？その間に習得してやるよ！」



中也は意気込んでるけど…元人魚の…
というか、いわゆる身元不明扱いの中也をそんな大舞台に出してもいいのだろうか…？

各国のメディアも集まるだろうし、舞台に上げるのは危ないな…



「A？勿論一番最初は私と踊ってくれるよね♡エスコートは任せたまえよ。

蛞蝓はきっと舞踏会に出席出来ないから、部屋で大人しくしてればいいさ」

「はぁ？手前…そう言って俺がいない間にAにやましいことすんじゃねェだろうな？」

「するわけ無いだろう。あっ、でももしかしたらそういう雰囲気になったりして…？」

「こ…ｯｯの糞サバ野郎!!表出やがれ!!」

『食事中くらい仲良くしてｯ!』



このあと、二人の頭にげんこつが降ったのは言うまでもない。

興味　視点off→←プライド　中也side

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