検索窓
今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:31,549 hit

脱出 ページ45

バサリ、長い髪を切った。

街へは王族の仕事で何度か出向いているので、顔を覚えられてると思った。
身に付けている王家の証となるものと服も、全て脱ぐ。
そして、海の中でも無事なよう個包装のキャンディを何個か、そして少しのお金をハンカチに包んで持つ。


ほぼ下着の状態で、私はバルコニーの手すりを乗り越える。

日は傾いている。ほとんど暗く、もうじき何も見えなくなるだろう。


風が冷たい。



『…どうか、凍死する前に街まで辿り着けますように』



胸の前で手を握る。そして、





タンーーーッ





ーー






ボチャンーーー……ッ







私は、海へ飛び降りた。





ーー





〜太宰side〜



「やぁ、気分はどうだい?」


狭い牢獄に閉じ込められている哀れな人魚。陸に上がったのが間違いだったね。



「…何しに来やがった」

「Aが面会に来たらしいじゃないか。妬ましいねぇ。どうやら彼女は弱い者に肩入れしてしまうようだ」


”彼女と何を話した。“


声のトーンを落として笑みを消す。

彼女に執着する中也のことだ。また何か脅すようなことを言ったのかもしれないし、弱っているとはいえ海を操る力は微力ながら残っている。安心はできない。

中也はつまらなそうに私の顔を見てそっぽを向いた。



「手前みてぇな野郎と話すことは何もねェよ。クソ野郎の顔なんざ見たくねェな」

「私だって好きで君に会いに来た訳じゃないさ。彼女に何もしてないだろうね」

「ハッ、むしろ俺が脅されてるようなもんだ」



そう言うと、中也が挑発的な目を向けてきた。…光の宿った、嫌な目だ。



「“中也は私を貰ってくれるんでしょ!?私を置いて勝手に死んじゃ駄目!”…だってよ?俺はどうやら、まだ死ねねェみたいだな?」

「!」


…彼女が、そんなことを…?

じゃあ、一度私の手元に来たというのに、また中也の方へ……?


いや…、中也を死なせないために彼女が鼓舞しただけ…



そこまで考え、嫌な予感がした。



「まさか…ッ!!」



急いで彼女の部屋へ走る。

Aが中也を助けようとするのは目に見えていた。だからこそ彼女の父親の協力のもと、城の警備を厳重にさせ、浜辺にも降りられないようにした。

出口はどこにも無いはず。





ーバタンーーーッ!!



「A…ッ!!?」



部屋は空で、空いた窓から冷たい風が吹いていた。

生きる意味 太宰side→←出口


おみくじ

おみくじ結果は「末凶」でした!


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (50 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
89人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ヨモギ雲(プロフ) - チョコさん» こんにちは、コメントありがとうございます!4期見ています!出番が少ないながらも、相変わらず中也さんかっこいいですね…!✨ (2023年3月30日 23時) (レス) id: 8cd691db0d (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - この話し面白くて見てます!そういえば、文スト4期始まっていますよ!! (2023年3月21日 13時) (レス) @page25 id: d38db6c248 (このIDを非表示/違反報告)
ユエ - こちらこそ返事ありがとうございます。作者様のペースで大丈夫です。今後も期待しています! (2021年6月29日 18時) (レス) id: 007fbd0124 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモギ雲(プロフ) - ユエさん» コメントありがとうございます!ダラダラ更新で本当に申し訳ないです(汗)頑張ります! 7月からでしたっけ…?一期がまた見られるらしいですね、楽しみです! (2021年6月29日 0時) (レス) id: 4c88579f44 (このIDを非表示/違反報告)
ユエ - いつも楽しませてもらってます。そういえば文ストの再放送がやるみたいですよ。 (2021年6月28日 7時) (レス) id: 007fbd0124 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ヨモギ雲 | 作成日時:2021年1月22日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。