無礼 ページ19
その後は早かった。
太宰様は自国の城に連絡して、必要最低限の荷物を私のもとへ運ばせた。
流石に部屋は同じにできないので、急遽用意すると伝えたら…
「それじゃあ意味がないよ。私も君と同じ部屋にして。それが駄目なら、あの男もAと別室にして」
と言って聞かないので、仕方なく中也を説得した。本人は凄い嫌がってたから、かなり無理矢理だったけど…
こうして約半年程、太宰様は私の城で過ごすことになった。
ーー
ー
「見てよA、この記事」
『ん?』
渡された記事を見ると、そこには〈太宰王子とA王女、遂に結婚確実か〉と大々的な見出しがあった。
「これで世間は、私達が結婚の準備を始めたと思うね」
『もう記事になってるの?
不確実な事実が世間に広まったら色々と大変になるよ?』
「そんな記事が何だよ!」
中也が太宰様から記事を奪い取って、ゴミ箱に捨てた。
「何するのさ、まだ全部読んでないのに」
「黙れ」
『今回は中也が悪いよ?太宰様が読んでる途中だったのに捨てちゃ駄目』
間違ったことはしっかり正さなければ。中也に注意すると、うぐっと言葉を詰まらせて悔しそうな顔をした。
「ほーら、Aもこう言ってるじゃないか」
「でもA…!あの、アレだろ、ほら…」
自分が不利な立場になってしまった中也は、何とか逃げ切ろうと、言い訳の理由を探しているようだった。
庇って欲しそうに、私の目を見ている。
『中也、こういう時は素直に謝るのが一番だよ』
「ぐっ…太宰の野郎に謝るなんて絶対厭だ!」
『あ、中也…』
中也はバルコニーの方へ出ていってしまった。
『拗ねちゃったかな…』
「放っておきなよ。君は悪くないさ」
大して記事のことは気にしていない様子で、太宰様は優雅に紅茶を飲んだ。
中也はこちらに背中を向けて、海を眺めている。
『太宰様、ごめんなさい。中也は本当は悪い子じゃないの。私が代わりに謝るから…』
そういうと、太宰様は何かを閃いたように「あ」と、声を出した。
「……そうだね。幾ら親しい君でも、あんなことされたら、気分は良くないよね」
『や、やっぱり…』
「どうしても許してほしいなら、」
太宰様が私の鼻先を、指でちょんとつついた。
「私のこと、“治”って呼んで?」
ね?いいでしょ?
私は頷くしかなかった。
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ヨモギ雲(プロフ) - チョコさん» こんにちは、コメントありがとうございます!4期見ています!出番が少ないながらも、相変わらず中也さんかっこいいですね…!✨ (2023年3月30日 23時) (レス) id: 8cd691db0d (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - この話し面白くて見てます!そういえば、文スト4期始まっていますよ!! (2023年3月21日 13時) (レス) @page25 id: d38db6c248 (このIDを非表示/違反報告)
ユエ - こちらこそ返事ありがとうございます。作者様のペースで大丈夫です。今後も期待しています! (2021年6月29日 18時) (レス) id: 007fbd0124 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモギ雲(プロフ) - ユエさん» コメントありがとうございます!ダラダラ更新で本当に申し訳ないです(汗)頑張ります! 7月からでしたっけ…?一期がまた見られるらしいですね、楽しみです! (2021年6月29日 0時) (レス) id: 4c88579f44 (このIDを非表示/違反報告)
ユエ - いつも楽しませてもらってます。そういえば文ストの再放送がやるみたいですよ。 (2021年6月28日 7時) (レス) id: 007fbd0124 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヨモギ雲 | 作成日時:2021年1月22日 13時