ハツコイー2ー (ページ17)

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017. ページ17

ーーー1年後ーーー

「ありがとうございました」

市の職員の、新卒募集に。

2人とも就職が決まった。

新しくなった市役所に、近い所。

それと、今より少し広い家。

に引っ越すため、業者のお兄さん達が来ていた。

「暗くなる前に、カーテン見に行こ？」

n『うん。あ、相葉さん6時に来るって。
来なくていいのに。』

彼は。

大手企業に内定が決まった。

自分のお店が出したいってゆう夢のために、経営の勉強もするらしい。

　

「ほんとはすきなくせに(笑)」

n『すきじゃないよ(笑)』

鼻で笑いながら、だってあの人さ。
って。

細かい癖も、ホクロの位置も、あたしの知らないコトを山ほど知っていて。

会うと必ずやんや言い合って。

そんな2人を、いつも、羨ましく思う。

n『ねー。ちょっといい？』

向こうの方から、彼の声が聞こえる。

「え、どこに居るの？」

リビングの他に、部屋は2つしかなくて、そのどちらにも姿がない。

もしかして。と思い、ベランダを見ると、彼の後姿をみつけた。

「いた、」

ゆっくり振りむいた彼が、

n『コレ。』

って。

小さな箱を出した。

四角い、ネイビーの箱。

「なに？」

n『1回しか言わないからね？』

「……うん、」

n『ココで、ずっと一緒にいたい。
2人で……そのうち、3人とかでもいいけど。』

「う……ん、」

n『アナタを、俺のモノだって証明する、
唯一の方法。』

彼が、箱を開ける。

「っ………」

n『もらってくれる？』

まぶしいほどの夕陽を受けて、きらきらと、ヒカル。

逆光で、彼の顔は見えないけれど。

「いい…の？」

n『いいよ？』

「ほんとに、いいの？」

n『いんだって(笑)』

「だって、」

n『あーもうっ。
いいから手出しなさいよ(笑)』

手をつかんだ彼が、あ？どっちだっけ？
って言いながら、うつむいている。

「ありがとう」

n『ん。』

「ありがと……」

やっと顔を上げた彼が、

n『"誰かと違わない方が変だよ"
アナタがそう言ったの。』

「え？」

n『あの時、救われた気がした。
だから。礼を言うのはこっち。』

初めて会った、あの日みたいに。

柔らかな、笑顔が見える。

ーハツコイは、実らないー

なんて。

誰が言ったんだっけ？

END