あなたにもう一度 【黄】

14話 ページ16

る「食べ終わりましたか？ならはい、これで口拭いて。」

る「うん、じゃごちそうさまして？」


ぼーっとしてたら、いつの間にか瑠斗くんとご飯を食べていた天崎Aです。
こんなのお父さんに見つかったら、怒られるどころじゃないだろうな...。
そんなことを考えながら、私の面倒を見てくれている瑠斗くんの横顔を眺める。


「瑠斗くんはいいお父さんになりそうだね...。」


る「はぇ？！な、何言ってるんですか！」


ちょっとお酒も飲んだからか、思ったことがすぐに口に出るようになってしまった。
少し顔を赤くしながら、けれどもどこか嬉しそうな瑠斗くんはなんというか...。


「...可愛い。」


る「なっ...！も、もう！からかうのもいい加減にしてくだ
さい！ほら、歩けますか？」


完全にママと化した瑠斗くんに手をひいてもらって、私は支払いに向かう。
財布の中にあった福沢諭吉を適当に出したら、何故かげんなりする瑠斗くん。


る「何でぴったりあるのに、1万円出すんですか！小銭ありま
すよね？」

「あぁ...これでいい？」


る「それは100円じゃなくて50円玉です！」



なんてコント並みのツッコミを入れてくる瑠斗くんと、ぼけっとしたままの私に、店員さんがくすくすと笑ってくれる。


店「ふふっ、すいません。仲いいなぁ、と思いまして。」


る「あっ、ほらAちゃん急いで。」


店「いえいえ、大丈夫ですよ〜。私、今彼氏と絶賛倦怠期中
なので羨ましいです。」




そう言ってふんわりとした笑みを向けられて、久しぶりに私も少し心が温まったような、そんな気がした。

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