23話 ページ23
「お、おじいちゃん…?!」
「大丈夫大丈夫、Aちゃんは信頼出来るから。入間くんも学校、それも近くにサポートしてくれる先生がいた方がいいでしょ?」
「そ、そうだけど…」
今、Aの前に立っている少年が人間。まるで現実味のない言葉に暫く言葉を失うA
人間はやっぱり悪魔とそこまで姿が変わらないんだ、どこまで人間と悪魔は違うのだろうか。
昔から人間という存在を見て調べてみたかったAからすると、入間という存在は今一瞬で非常に興味の引かれる“存在”となった
「…まあ、ここで冗談は言いませんよね」
「もちろんだよ。君には入間くんが過ごしやすい学校生活になるようにサポートして欲しいんだ」
「っはぁ〜……この仕事をして暫く経ちましたが、こんなに責任重大な事は初めてですよ」
「せ、先生は嘘だって思わないんですか…?」
頭を抱えるAに恐る恐る入間は声をかけた。
自分も、悪魔の世界に来て困惑した過去があるからだろう。
「…この言葉をサリバン理事長以外から言われたら、きっと信じなかったと思うよ。でも、理事長に言われちゃったら、信じる他…ないよねえ……」
半信半疑ではあるが、多分本当にそうなのだろう。人間を見た事がない為、全くもって実感はわかないが…。
混乱しながらも、Aはあのバビルスの先生なのだ。こんな規格外のことも冷静に対処しなければならない。
「…サリバン理事長」
「ん?どうかした?」
「これ、別に学校で言っても良かったはずですよね。でもそれをしなかった。つまり…」
「入間くんが苦痛に感じない程度に、だよ?それがAちゃんに大変なことを頼むご褒美」
「十分です」
「…あの、おじいちゃん…A先生…?」
2人の不穏な雰囲気を感じ取ったのか、入間はおどりと声を出す。振り向いたAは今まで見たこともないほど楽しそうに笑っていて
「入間くん」
「はっ、はい!」
「私は今から君に沢山質問するけど、答えたくない事や疲れたらちゃんと言ってね」
「は、はい…?」
「…ごめんね、私人間にすっっっごく興味があるんだ」
にっこりと笑っているはずのAの影に、どこか見たこともない怖いものを感じた入間。
楽しそうなAに引っ張られ、入間は部屋を出た。
Aの知りたがりの探究心と、入間の断れない性格。
入間の部屋で執り行われた質問攻めは、夜遅くまで続いたという。
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作者名:野崎 | 作成日時:2020年1月24日 2時