214 ページ15
彼はそれを把握していたかのように、彼もまた銃口を向ける。しかし彼の拳銃の銃口は、ドーラではなく目の前の男に向けられていた。
｢っ！？どういうつもり…！？｣
｢撃つなら撃て。まあもれなく俺も撃つが｣
｢この……っ！｣
彼の瞳は酷く冷たいが、その奥は赤く燃えている。
彼が本気で撃つつもりなのだと理解出来たが、このままでは彼も撃たれてしまう。
ドーラは先程まで余裕の表情を浮かべていたが、隣にいる男に銃口が向けられた途端余裕が無くなった。
一先ず彼女が向けている拳銃をどうにかしなければ、グルッペンはどうやっても負傷してしまう。
考えても考えてもそれらしい策は浮かばない。刻一刻と時は流れ、より一層の緊張感が走った。
｢俺の目的は｣
｢勝利ただ一つだ｣
彼が拳銃の引き金を引いたと同時に、部屋中にガスが蔓延する。
彼の発言が終わると同時に栓を抜いたからか、良いタイミングで彼女らの視界を眩ませられただろう。しかしやはり彼女は引き金を引いたようで、ガスが蔓延する中2発目の発砲音が響いた。
私は咄嗟に装着したせいで、十分に防ぎきれなかったガスを吸わないように息を止める。
｢ぐっ……！！お前っ……本気で…撃………｣
｢っプワゾンさ、ま………っぅ、｣
この睡眠ガスは少しでも体内に入れてしまうと強烈な眠気が襲ってくるようになっている。予め予測して防ぐか、ガスマスクを装着するかしないとまともに意識を保っていられないだろう。
まだガスが蔓延しているが、私は倒れているであろうグルッペンの体を手探りで探す。
｢……！いた！｣
私は煙を手で扇いで視界をクリアにし、彼の元に近寄る。
扉が開いているのである程度はけてはきたが、まだ薄らと残っている。
私は彼の息がまだあることを確認し、傷口を視認した。
｢…………………っぐ、お前……、逃げろ………｣
｢無理です｣
｢は……｣
｢約束したんです、鬱さんと｣
彼は腹部に銃弾を受け、大量の血を流していた。
ドーラの銃口は頭部に向けられていたが、睡眠ガスの煙幕が役に立ったらしい。
私は彼の服をたくしあげ、傷口からピンセットで銃弾を取り除く。
そしてぽっかり空いた傷口に、iPS細胞で作った細胞を埋め込んでやった。その後に止血剤を投入し、使い終わった空の注射器をカランと床に落とす。
·
iPS細胞の知識多分正しくないので見逃してくださいすみません
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2438人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あまね(プロフ) - 完結！おめでとうでふ！ (10月29日 11時) (
レス) @page27 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
パリラ - 凄いですね、、、もう本当に好き過ぎて一日で読み切りました！ (8月30日 10時) (レス) @page27 id: 326cf2b718 (このIDを非表示/違反報告)
砂糖 - これめっちゃ前に見てそれからずっと探してたんですけどやっと見つけて徹夜で読みました、、！！スリルがあって何より菊さんが好きすぎて！！最高でした！！素敵な作品をありがとうございます！ (2022年5月4日 4時) (レス) @page27 id: 1132857e69 (このIDを非表示/違反報告)
輝月(プロフ) - 久しぶりに占ツクに戻ってきたら好みの作品見つけて一気に読んでしまいました！これは今後がとっても気になります！素敵な小説をありがとうございます！ (2021年7月22日 21時) (レス) id: 4cc550c3ab (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - みちゃくちゃ好きな作品！！！！完結？おめでとうございます！！オチ…みたいけどTwitterやってねぇ…！！ｸｿｩ…他の作品でも頑張って下さい… (2021年6月25日 22時) (レス) id: 5459160ee1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：柚
| 作成日時：2021年3月23日 9時
