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｢てか、あの人たちなに？てかあの鬱って人何者？｣
｢ああ、大先生？ほっといてええよ、シメといた｣
｢こわ…｣
なんでもないようにそう言うけれど、怖い。
この夢の始まりが私と同期しているとすれば、彼のその場の順応力を褒め称える他ない。
あの時はあまりにも周りに溶け込んでいて、トントンは別世界の人間で私だけが現実世界の人間なのだと錯覚してしまった。だからこうやって説明しに来てくれることがなかったら一生彼は自分の知るトントンとは別人だと勘違いしていたし、仮にも仲良しの部類に入る彼からあの対応は流石に心に刺さる。
と、普通に彼と会話していたが今自分が化粧をしていない状態、つまりどすっぴんだということに気付いて勢いよく布団を被った。
｢何事？｣
｢いや、今メイクしてない。死にたい。忘れて｣
｢いや無理あるやろ｣
｢ていうか寝起きで部屋いるとか不法侵入すぎない？セキュリティどうなってる？｣
頭まで布団を被ったまま彼に文句を投げかける。
ぶつぶつと文句を言っていたら、彼の姿は見えていないはずなのに呆れた様子の彼がジト目でこちらを見ている気がした。
｢別にいつもと変わらんやん｣
｢それ褒め言葉じゃない｣
｢なんやねん………てか、カラコンついてたやん｣
ぶつぶつ布団の中で独り言をつぶやいていたら、衝撃的なことを言うので頭がさあっと冷えた。
一気に目に神経が集中して、そういえば瞬きしずらいかもしれないと感じてゆっくりと瞬きをする。先程の欠伸で浮き出た涙で一度潤った為か、カラーコンタクトの存在に気付けなかった。カラコンを装着したまま寝るのは推奨されない、もはや絶対NGなのだが今までやらかしたことは一度もなかったのに。
私は普段、仕事中でもナチュラルのカラコンを装着している。
何故カラコンは装着されたまま夢の中にいるのか知ったこっちゃないが、早くこのカラコンを取り除かないと失明してしまう。
｢だ、大丈夫か…？｣
｢これが大丈夫にみえるっ！？｣
｢ーーお嬢様？どうかなさいましたか？｣
彼は物凄く困惑していた。
涙を流していることに予想していなかった為にぎょっとしていたけれど、すっぴんとメイクで顔が変わらないとかいう見当違いなことを言った男に人権はない！
まあ涙を流していたというのは必死に欠伸をして目を潤わせようとしていた為である。
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作者名：柚
| 作成日時：2023年12月17日 17時
