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我々国の書記長は仕事に追われている。
幹部たちのミスや総統の我儘、そして自分の業務と並行して行うことを考えるととても1日で終わるような仕事量ではないことに、今日も頭を抱えている男の名前をトントン。
書記長補佐とかいう役職をいただいてから2日程経過した頃、大体彼の苦労人レベルを把握した。
「なあ、ごめんなんやけどこれ片付けてくれんか」
「承知いたしました。えっと…」
「コネシマのアホが壊した備品や。再手配と処理よろしくな」
彼はホッチキスでとめられた紙の束を、山積みになっている書類の上に置いた。
コネシマ、というワードにびくりと肩を震わせたが彼は常時、手元の書類に目を向けていてこちらに視線を寄越すことは少ない。まあもし目撃されていたとしても特に気にすることではないだろう。
「そういえば今日、オスマン様と打ち合わせがあると仰ってませんでしたか?」
「うわ、そうやったあぁ…うわぁーまじで行きたくねぇ」
彼はそう言って、ため息をつきながら頭を抱えた。
私は苦笑いを浮かべながら、頭を抱えている彼の頭上を見ていた。
赤いハートに53、あれから数値の変化はそこまでない。
どのタイミングがゲーム上の選択肢なのかが全く区別がつかない故に、どの場面においても気が抜けない。明らかに好感度が爆上がりしたのはあの一件だけで、他は気の利くようなことを言っただとかでプラス1ずつ好感度があがっただけである。
まあ私は好感度が目に見えて分かるようになっただけで、人の顔色を伺い物事を述べるのは現実世界と同じである。会社でも上司や先輩に嫌われないように行動するのが普通だ。それは会社でなくても成り立つし、当たり前のことと言っても過言ではない。当たり前のことであると断言出来ないのは、我を通す人も少なからずいるからだ。
「自分も来る?」
「えっ?」
ゲームの世界と言えど、選択肢だけちゃんとしておけばいいものではない。何もかもを完璧にやる必要があるのかと思うと気が遠くなる。
と、彼の話を半ば聞き流していたら突然話を振られてびくりと、肩が揺れた。
「事務仕事ばっか疲れたやろ。ちょっと息抜きしに行こうや」
「なるほど…」
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あまね(プロフ) - かんけつ?! (10月29日 12時) (レス) @page21 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
かす(プロフ) - かこつです!!!めっちゃ好みでコメントさせてもらいました!お身体に気をつけて、更新お待ちしておりますー!! (8月19日 16時) (レス) id: b1482de086 (このIDを非表示/違反報告)
けんまおし1016(プロフ) - この作品めっちゃ好きですぅぅ!!!!!!!!めっちゃ面白いですぅぅぅぅぅ!!!!もう最高です!神作者様ですね!!!! (2022年12月17日 18時) (レス) @page21 id: 92260459e9 (このIDを非表示/違反報告)
ゼロ(プロフ) - コメント失礼します!めちゃくちゃこの小説好きです!好みドストライクなんですよ!夢主ちゃん残機3かぁ。多分残機0でハッピーエンドになると思うんですが後3回死ぬとなるとどうやって殺されるのかめちゃくちゃ気になります!これからも無理せず更新頑張って下さい! (2022年8月17日 22時) (レス) @page21 id: 77487c3926 (このIDを非表示/違反報告)
rimu@他力本願寺建設完了! - コメント失礼します!もう残機が3なのでめっちゃハラハラして見てます!夢主ちゃんガバるなよ〜…。更新頑張ってください!応援してます! (2022年8月15日 22時) (レス) @page16 id: 251d2d6b95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚 | 作成日時:2022年7月31日 15時