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いきなり何を言い出すんだ、この人は。
私達の血と汗と涙の結晶である薬品を全て、なんて私たちを余程無一文にさせたいらしい。


何故ここまで薬品を欲しがるのか_____、その理由を聞こうとしたところで、数人がバタバタと廊下を走る音がする。

先程から足音は聞こえていたが、それは徐々に音量をあげて近付いてきた。




「やっときたな。ちょっと失礼するで」
「え?ちょっ、ギャー!!!!」
「お姫様抱っこしてやっとんのにその悲鳴なんなん?落とすで」
「イヤー!!!速い!!落ちる!!死ぬ!!!」
「死なんわ」




素早く私の膝裏と脇下に手を回したかと思えば、ぐんっと重力に逆らって持ち上げられた。
所謂姫抱きをされたにも関わらず、トキメキもクソもない。

追ってくる兵士に向かって、逆にその方向に私を抱えて走り出す。


兵士は剣を振りかざしたが、彼はそれを軽々避けて腹に蹴りをくらわせた。
次々に向かってくる兵士を蹴り、かかと落としをくらわせたり、フェイントで壁にぶつけさせたりして攻撃をかわした。



タッタッタッと走りつつもスピードは緩めてくれたらしく、激しく揺られることは無くなった。

しかし、改めて姫抱きをされていることを自覚すると、自然に顔が熱くなる。
急にそれが恥ずかしくなって、胸の前で両手を握りしめながら顔を俯かせた。




「……どうしたん、気分悪い?」
「え、」




すると、本当に気分が悪いのかと心配してくれたのか廊下の途中で立ち止まった。
今はそんな気遣いは無用だというのに。

彼は、姫抱きのまま私の赤くなった顔を覗き込んで目を丸くする。




「もしかして照れとん?」
「ちがいます」
「ふーん?」




命の危機に迫っていることには間違いないが、彼の顔立ちは中々端正で私のストライクゾーンのど真ん中をついていた。
その顔で、この状態で覗き込まれてしまっては流石に心が揺さぶられてしまった。
違う意味で心拍数があがって、ダイレクトに彼に心臓の音が聞こえてしまう。

彼がイケメンなので流されそうになっていたが、睡眠ガスで眠らされ人質にとられていることには変わりない。それを思い出して、顔の火照りをしずめる。



「なんや。可愛かったんに急にマジの顔やん」
「さっきまでお姫様気分だったんですが急に捕虜だったことを思い出して」
「まー俺王子様ではないな」
「山賊って感じですもんね」
「お前中々言うやん」

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宇琉夜ハル(プロフ) - 後 side ほしいです (2021年4月30日 19時) (レス) id: c64b9591b6 (このIDを非表示/違反報告)
宇琉夜ハル(プロフ) - 後名前がわかったら zm「あ」 見たいなん欲しいです (2021年4月30日 19時) (レス) id: c64b9591b6 (このIDを非表示/違反報告)
宇琉夜ハル(プロフ) - 出来れば夢主のセリフ『』こうしてください 時間があればでいいんで (2021年4月30日 18時) (レス) id: c64b9591b6 (このIDを非表示/違反報告)
叶子(プロフ) - 晴さん» それは良かったです!!ありがとうございます!めちゃくちゃ遅れましたが見てますよ!!!頑張ります!!! (2021年2月21日 20時) (レス) id: 9eb6eeed7a (このIDを非表示/違反報告)
叶子(プロフ) - 通りすがりの亀さん» 最初はその予定でしたが、主人公が後悔することのないようにヘイトを向けさせて上層部をクズに仕立てあげました(^^ ありがとうございます!頑張ります!!! (2021年2月20日 21時) (レス) id: 9eb6eeed7a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2021年1月31日 9時

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