色々詰め込んだ短編集！文スト

探偵社で『白雪姫』 ページ22

白雪姫「あ、貴方がたは？」

与「妾達はこの家の主だよ。あんたこそなんでここに居るんだい？事の次第では警察に突き出すよ！」

白雪姫「そ、それが…家来に森に連れてこられて…でも家来が帰ってしまったから迷子なんです。」

『白雪姫は自分が殺されたことになっていることなど細かく話しました。』

与「なんだ、そういうことかい。何とかしてやれないかねぇ？乱歩さん？」


白雪姫「…………」

小人たち「…………」

『………』

与「おい！乱歩さんはどこだい？」

さっきまでいたはずの乱歩がいない。舞台裏から声が聞こえる。

王子姿の社長に連れられた乱歩が登場した。

敦(ドレス姿)「乱歩さん、突然居なくなってどうしたんです！？」

乱「えー！劇、めんどくさいもん！もう飽きたよ！」

福「…最後までやり遂げたら褒めてやる。」

途端に遣る気を出す乱歩。

乱「しょーがないなー！社長がそこまで言うなら…」

小人たち「……」

乱「…何処からだっけ？」

与「……何とかしてやれないかねぇ、乱歩さん？の後だよ」

乱「あぁ、そこか…【⠀めんどくさいからやだ！なら、一緒に住めばいいじゃん⠀】」

乱歩がセリフを棒読みで言った。


中「それはいい考えだな！そうしよう！」

必死で場を繋げる中也。

『こうして白雪姫は小人たちと一緒に暮らすことにしました

しかし…小人たちの留守を狙って、老婆に化けた魔女が森にやってきてしまったのです。』


魔女「あーつしくん！ママだよー！美味しいリンゴを持ってきたよー！毒なんて入ってないよー！さあ、ドアを開けてー！」

魔女がふざけてアドリブをし始めた。


白雪姫「……あら、誰かしら…」

魔女「誰ってー、忘れたのかい？敦くんのママだよ！」

白雪姫「ここに敦くんという人はいません。私は白雪姫。何の用ですか。」

魔女「リンゴをあげようと思ってね。居るかい？シンデレラ」

白雪姫「ええ。し、ら、ゆ、き、ひ、め、は食べたいです！」

必死で自分の役を全うしようとする敦。
その健気さに観客席から称賛の拍手と声が響き渡った。

魔女「はい、どうぞ。君はさぞ幸せだろう」

リンゴを齧る白雪姫。

白雪姫「ぐっ…は！」

魔女「…今からあの世へ行けるのだから。」

ここだけ真剣な顔をして演じる太宰。流石。

『さて、家に帰った小人達は死んでしまった白雪姫を見つけ、白雪姫の死を悲しみます。話し合って埋葬することになりました』

リクエスト→←探偵社で『白雪姫』

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す