醜い少年の話【ヒロアカ】 (ページ11)

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Story.11 ページ11

気が乗らない。

何でこんなクソ真面目に従っているのか、と直前で自分は立ち止まる。

そう___あれから月日は流れ、出会いと別れの季節こと春。そして4月。
つまり、雄英高校の入学初日。入学当日。

「1年A組」と書かれた札を見上げながら、ため息をつく。

いっそのこと逃げ出してやろうか。

政府の監視下に置かれているとはいえ、校内で逃げ回っているだけなら向こうは何も手出しは出来ないだろう。

よし、サボる。

そう決意し、右足を後ろに1歩下げてくるりと回転____したら。

「どこ行く気だ。朔亜」

「……相澤。何でここにお前が」

見覚えのある、モサモサ頭。
やる気の無いその目にも、見覚えがある。

そう、イレイザーヘッドこと相澤消太。

あの日以来、病室から出ることのなかった俺は相澤と結局一言も交わすことなく今日まで過ごしていたが……こんな所で会うとは。

俺がそう聞くと、相澤は「ここでは教師と生徒の関係だ。さっさと中入れ、遅刻だぞお前」と告げる。

遅刻ってもうそんな時間か、と思いつつ扉を開こうとして、その手を止めた。

それを不審に思ったのか相澤は怪訝な表情を見せる。

「入りたくない。奇怪な目で見られたくない」

「……お前」

「っていうのは建前で面倒臭そうな行事しか無さげだからパスしたい」

____ｺﾞﾝｯｯ

相澤の怒りの鉄槌が振り下ろされた！
効果は抜群だ！朔亜は10のダメージを喰らった！

「いや痛ぇわ普通に」

「さっさと入れ馬鹿」

「教師が馬鹿って言っていいのか」

あれ、何で俺はこんなに普通に話しているんだ。

ぴた、と身体の動きは止まり、相澤の方に視線を移す。
その視線に気付いた相澤は、早くしろと言わんばかりにこちらを睨んできた。

……そういえば相澤は、俺を怖がっていないんだったか。と、数ヶ月前のことを思い出しながら頭を搔く。

視線の圧があまりにも強いので、静かに扉を開けた。

「お友達ごっこがしたいなら他所へ行け」

「うぉビックリし……え、何でお前寝袋入ってんの。え、いつの間に？」

俺が扉を開けた瞬間、後ろから低い相澤の、いかにも怒っているのが分かる声が聞こえた。

あまりに唐突すぎて後ろを振り向いてみれば、いつの間にか寝袋に入っている姿が視界に入る。

もうこれ意味分かんねぇな。と、ジト目で相澤の方を見ていた。

……というのも、周りのヤツらの視線が嫌で向き合いたくないだけなのだが。