醜い少年の話【ヒロアカ】 (ページ10)

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Story.10 ページ10

どうやら、あの後俺は気絶していたらしく、いつの間にかベッドの上で横たわっていた。

目が覚めたら、天井が視界に入る。
起きる気がどうも湧かなくて、そのまま横に寝返りをうつ。

「……んで、ヒーロー科なんかに…」

”個性を制御する為”

と政府は言うが、個性を制御出来たとしても、俺はこの社会で生きていけるのだろうか。

個性が幾ら制御出来たとしても、個性が醜く、おぞましいものであれば……それはもう、社会からはみ出したも同然だ。

生きる術なんて無い。
この社会に俺の居場所なんて無い。

雄英に、ヒーロー科に行かなくてはならないのだろうか。否、そもそも俺に選択肢は無い。

「……面倒臭ぇ…」

そう呟いても、答えてくれる人間はいない。
それが何ともつまらなく感じて、何となく目を瞑る。

そういえば…学校に行くのは、何年ぶりだろうか。

中学に入って直ぐ通うことを辞めた。
そこからは一日たりとも行かなかった。

2年ちょいぐらいか。
小学校の頃から友人なんて居なかったし、何とも思ってはいない。

周りのクラスメイトは「化け物」だと「怪物」だと俺を噂し続けたが、それはもう過去の話。

事実なのだから仕方ない、と今ではもう受け入れてしまっている自分がいるのだ。

それでも小学生の頃は学校に通い続けていた。
それはきっと、心のどこかで友人と呼べる存在が出来ることを期待していたから。

現実は……そう。
誰一人として話しかけてくる者は居ない。残酷な言葉が、俺の心を突き刺すように降りかかるだけだった。

嫌な思い出しかない。
集団生活というのは、いつの間にかグループが出来ていて、孤立すればソイツがターゲットになるのだから。

袋叩きになって、そこに味方は誰一人として存在しない。学校というのは、そういう場所だ。

生徒、クラスメイトはおろか教師も見て見ぬふりをする。必要であればその事実を隠蔽さえする。学校というのは、そういう場所だ。

醜いと、罵られたこの痣は___本当に、隠し通すことが出来るのだろうか。

そっと首に付けたチョーカーに触れる。
体温が伝わってこないせいか、チョーカーはとても冷たい。

そんなに危険な存在なら、いっそのこと殺してくれればいいのに。

心のどこかで、確かにそう思っている自分がいた。