due ページ4
｢…あの、本当にコッチであってます？｣
返事は無い。
本当にこの人に頼んでよかったのだろうか、騙されてるのかと不安が募っていく。
周りを見渡しても人ひとり居ない。通りを歩くのは二人だけ。建物も全体的に古びていて、至る所窓ガラスが割れている。
怪しい。明らかに怪しい。
｢ここ、どう考えても怪しいんですけど…
聞いてます？｣
返事は無い。
はぁ、と溜息を吐きかけたところで、ふと、物音が聞こえた。
振り返ってみるが、誰もいない。
｢……今何か聞こえ＿＿あ！？｣
視線を戻すと、青年の姿がない。突如、魔法のように消えてしまった。信じられない。
否、それよりも、ああ、最悪だ。やっぱり騙されていたのか。今度こそ大きな溜息をついた。
ここは一体何処だろう。道を尋ねようにも、相変わらず、人っ子一人居ないのだ。どうしようも出来ない。
本当に父に会うことなど出来るのだろうか。これじゃあディスティーノ着けるかどうかも…。思考もどんどんマイナスになってきた。
ええい、あのおとこおんな詐欺師め。今度会ったらどうしてくれようか。
＿＿また、どこかから物音が聞こえた。
人が居る！
やはりさっきの物音も聞き間違いじゃなかった。耳を澄ませて、音の方へ進む。近付くにつれて、声も聞こえてきた。
これで晴れて脱、迷子。もしかしたらディスティーノにも案内してくれるかも！
音は、この角の向こうだ。
.
曲がった先に広がっていたのは、積み上げられた真っ黒な
自分の馬鹿さ加減には本当に呆れる。よく考えたら、おかしいことに気づいた筈。
物音は、何かが爆発したみたいな、普通の音じゃなかった。聞こえた声は、何かに脅えてるみたいな、普通の声じゃなかった。近付くにつれて臭ってきた、
兎に角、何もかもがおかしかった筈なのに。
曲がった先に広がっていたのは、積み上げられた真っ黒な死体。そしてその頂に立つ一人の男。
男は振り返ると、真っ赤な瞳で私を捕らえた。
対して私は真っ青な顔をしていただろう。腰が抜けて、へたりと地べたに座りこんでしまった。
殺されてしまう。逃げなければ。いやでも、1mmでも動いたら殺されそうだ。だからといってこのまま座りこんでいるのも。
まぁ、力の抜けた身体はピクリとも動かないのだから、座っているしか無いのだけれども。
｢……
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作者名：野次 | 作成日時：2019年4月1日 13時
