掃除屋はじめました。２【A3】 (ページ28)

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55話ページ28

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『すばらしかったまじすごいし
まじちょーすばらしかった』
至｢語彙力笑｣

春のロミオとジュリアスも、冬の天使を憐れむ歌も、どっちもすごくよかった。
冬公演は、あの最後にみた公演と比べ物にならない。めちゃくちゃ良くなってた。

『ほんっとによかった！！』
咲也｢喜んでもらえて良かった！｣
『ありがとうみんなまじ感謝！！！』

春公演は本当に初めて見たけど、碓氷真澄の表情の変化に驚いた。いつも仏頂面でいづみさんのことでしか反応しないと思ってたけど。芝居も本気なんだな。
それに、ティボルト。至くん。まーじかっこいーの。流石王子顔。

いづみ｢雄三さん、どうでしたか？｣
雄三｢…掃除屋！｣

『え、はい！』
雄三｢お前、見ててどう思った｣
『そりゃあもう、おもしろ
雄三｢違ぇ｣

雄三｢他にあるだろ｣
『！』

いや、本当に面白かったよ。ちゃんと思ってるよ。
(まぁ気になることはあったけど)
いや、でも芝居の知識皆無っていうかほぼ部外者が口を出してもいいことなんですかこれ。

いつの間にか、周りの視線が全部あたしに集中してる。……これはヘタに誤魔化すより素直に言った方がよいな。

『…冬組は、テンポ、ですかね』

紬｢テンポ？｣
『はい』

『あたしは、コメディで一番大事なのはテンポだと思ってて
それってシリアスに関しても同じことだと思うんです
ただコメディと違うところは、場面によってテンポがガラリと変わる』

『普通の会話シーンならポンポンって感じで、クライマックスとかの一番感動するシーンはゆーっくり…』

丞｢それぞれの場面に合ったテンポをつけるってことか｣
『そうそれ』

雄三｢次、春は｣
『…えっとですね…もっと舞台を使っていいと思う』

『ここの劇場は他に比べると小さい方で、舞台の幅も狭い
でもそれ逆に…いいことなんじゃない？
狭いのって、…うん。いいんじゃない？』

至｢限界が来た｣
綴｢…狭いからこそ広く使う？｣
『そうそれ』

『せっかく殺陣あるんだし、もっともっと派手に動いたほうが、より…うん』

綴｢諦めたな｣

自分が使える全ての語彙を使い切った。…いやそれは語彙力無さすぎるな。

雄三｢そういうことだ。俺から言うことは何もねぇ｣
『ええ！？』

『こんな、芝居経験者でもないやつの意見でいいんですか！？』
雄三｢見に来る客の殆どは未経験者
だからこそ、お前のような奴からの意見は大切だ｣

雄三｢それに＿＿＿
いや、なんでもねぇ｣