側近さんの不透明な踊り

【お前のこと】 Side ゼン ページ34

そんな方法があるのか、と期待しかけて止める。ハルカ候を止める方法など一つしかない。

「俺の友人として門を潜らせないことだろう」
『そうだよ。現状ではそれしかない』

　白雪の友人なのはAも同じだ。むしろ、Aの方が付き合いが深いというのに、薄情にも捉えられる言い方をする。

『それにハルカ候は防波堤だ。ハルカ候が忠告することによって、周りの声が多少は抑えられているだけさ』

Aの言いたいことは分かる。ハルカ候の声を聞かないことは、次第に第二王子としての自身と一般市民の白雪の風当たりを強くする。

「分かっている。だが、それはしない」

　白雪を友人として登城することを禁止することは、白雪と縁を繋いだことを恥じているようなものだ。そんなことはしたくない。友人であることを否定するくらいならば、この立ち場を踏まえた上で友人である、と認識してもらう。
　断固とした拒否に、Aは頷いた。最初からその言葉を待っていたように。

　ゼンは試されたようで、怪訝な顔をする。時折、Aはイザナと似ていると感じることがある。はっきりと類似点を並べることはできないが、このように試してくるところとか。
　けれど、ゼンが答えた後必ず変な笑い方をするのだ。眩しそうに、羨ましそうに。ゼンはいつもその眼を受けると、不思議な心地にさせられる。
　その視線からやや逃れるように、気になっていたことを口にする。

「......ユエリャンは？」

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