涙のアスターⅡ【あんスタ】 (ページ5)

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＃3　デートページ5

◈真緒side◈

いつものように紫月を家に送ってから、寮に帰ってベッドに腰掛けたその時だった。

真緒「…ん？紫月からだ…」

スマホの通知欄にある名前を見て、俺はすぐにトーク画面を開く。

紫月『次の休み、どこか行きませんか。』

真緒「…えっ」

これはどう考えても……デート、だよな。

真緒「(紫月から誘ってくるの初めてじゃないか…？ヤバい、めちゃくちゃ嬉しい。)」

「行きたい」と返信して少し待つと、すぐに紫月からも返ってくる。

紫月『クレープの割引券貰ったんだけど、行く機会がなくて。よかったら。』

真緒『クレープか、いいな！じゃあ時間は…』

予定を決めて、スマホのカレンダーにもメモする。

自然とにやけてる自分に気づいて、さすがに気持ち悪いなって頬をつねって。

紅郎「嬢ちゃんとお出かけかい？」

真緒「あ、はい…って、顔に出てました？」

紅郎「そんな幸せそうな顔してたらなぁ。」

先輩にもバレて恥ずかしくなる。

…でも、楽しみだな。

真緒「(何着ていこうかな…クレープ食べた後は…)」

そんな事を考えながら、その日が来るのを待った。

…そして当日。

紫月「本当に、ごめん…」

真緒「これは仕方ないな〜、気にすんなって。」

久々に休みの日が被ったのに…朝から運悪く雨が降り始め、外は断念。

その代わりに、紫月の家にお邪魔することになった。

紫月「飲み物持ってくる。」

真緒「あ、お構いなく…」

何気に初めての彼女の家に緊張する。

ソファに座ってふと外を見ると黒い雲が見えた。

真緒「(来る時はまだ小雨だったけど、雨酷くなりそうだな…)」

紫月が温かいココアを出してくれて、ひと口飲むと甘くてほっとした。

俺の隣に座った紫月は膝を抱える。

真緒「あ、俺映画のDVD持ってきたんだ。鬼龍先輩にオススメ聞いてさ。」

紫月「…見たい。えっと、リモコン…」

再生ボタンを押して映画の本編が始まる。

鬼龍先輩のオススメ…それはすごく癒される動物の感動する話だった。

ハラハラするシーンもあり、クライマックスはどうなるのか…ドキドキしていたその時だった。

ゴロゴロと不気味な音がした直後…。

窓の外が眩しく光り、もの凄い爆音が落ちた。

紫月「っ…！」

真緒「うわっ…今の雷近いな…」

びっくりして窓の外を見ると、空は真っ黒で雨も酷くなっていた。

そして2回目の爆音。

部屋の明かりも、見ていた映画も全部消えて…真っ暗になってしまった。