＃23 エイプリルライブ ページ25
◈紫月side◈
エイプリルフール当日。
サプライズだから当然、
みんな不思議そうな顔で会場に集まっていた。
紫月「っ……」
本番直前になって少しだけ怖くなる。
緊張してるんだ…手も冷たくなってる。
あんず「紫月ちゃん、大丈夫だよ。
あんなに練習したんだもん、きっと上手くいく！」
「楽しもうよ！」と笑うあんずちゃんに私は頷いた。
目を閉じて、深呼吸して……もう大丈夫。
私たちは勢いよくステージに飛び出した。
スポットライトに照らされた瞬間、
大きな歓声が上がって一気に空気が熱くなる。
あんず「今日は来てくれてありがとう！」
紫月「た、楽しんでくれると嬉しい…！」
驚いたような声、応援してくれる声がして、
ピンク色と紫色のペンライトが広がっていく。
私の担当…紫色を見ると、
胸がぎゅっとしてすごく嬉しくなった。
1曲、2曲と歌うほど盛り上がっていく。
紫月「(こんな綺麗な景色、見たことない…)」
曲に合わせて揺れるペンライトが、
みんなとひとつになれたような感覚になって。
胸が熱くて、楽しくて、
この時間が終わってほしくない、なんて…。
紫月「(みんなはいつも、こんなすごい景色を見てたんだ…)」
言葉では言い表せない、最高の瞬間を私は体験した。
英智「本当に良かったよ。最高のライブだった」
無事にライブが終わると、
天祥院先輩が拍手で出迎えてくれた。
あんず「ありがとうございます！」
英智「想像以上の反響だったね。
また機会があればAsterに活躍してもらおうかな」
紫月「し…しばらくは、いいかな…」
あんず「あわわ、大丈夫？ゆっくり水分取ってね」
情けないけど、体力を使い切ってもうヘトヘトだった。
でもまだステージの熱気が少し残ってて、
あの景色が目に焼き付いてる。
紫月「(本当に、すごく綺麗だった…)」
この企画で、アイドル目線じゃないと
分からないこともたくさんあった。
挑戦してよかったって、心からそう思った。
◈真緒side◈
真緒「は……え？紫月？かわ……いや、え……？」
凛月「語彙力死んでるけど大丈夫？」
もちろん全然大丈夫じゃない。
突然紫月とあんずがアイドルになって、
歌って、踊って…。
真緒「これが、ファンの気持ちなのか…」
凛月「どんな気持ち？」
真緒「突然の供給で死ぬから俺の墓立ててほしい気持ち」
凛月「うん、思ったより重症だね」
後日、紫月に感想を伝えると
顔を赤くして「忘れてほしい」と言われた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 55人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紫鶴 | 作成日時：2021年8月4日 15時
