夢の中の君は〈野坂悠馬〉 (ページ2)

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強さとは。ページ2

朝練は皆早い。特にいつもどうりだが、皆楽しんでやっているように見える。
私は外に出て、風を浴びる。優しく吹く風が、何だか懐かしく思う。もしこれが夢だったら…現実の暖かさ、優しさ、匂い。それさえあればいいのに。

…もうこの話は忘れようか。今は練習に集中しなくてはならない。野坂君の足を引っ張らないようにしなければ。強さこそ、価値があるのだから。

だから私は、偽っているのかな。恋心まで隠して。
．．．いつまで、こうしていればいいのだろうか。明日まで?それとも一生?

「野坂君…」

いつの間にか横で練習をしていたのか。汗を飛び散らせながら走る野坂君はいつも以上にカッコイイような気がする。鼓動が早くなって体温も少し上がる。それはきっと気のせい…じゃ、ないだろう。

「もう…分かんないよ…。」

現実の君。夢の中の君。姿は同じ。性格も同じ。髪の色も何もかもが。だけど何かが違う気がするのだ。私は、とても混乱する。どちらを選べば、良いのだろうかーーーーー?

「A?」

「あっはい!!どうしたの?野坂君。」

．．．。何で今、君は悲しそうな顔をしたの?別にいつもとは変わってないはずだよ．．．ね?
野坂君、何かあったのかなぁ。それとも．．．もしかしたら私のせい?

私は自分の顔を見つめてくる野坂君が不思議に思い、

「え、顔に何か付いてる?」

そう言いながら顔をペタペタ触る。
何もない．．．よね?多分。すると彼はクスッと笑い、違うよ、何でもない。と言った。

ふぅ．．．何とか笑ってくれた。良かったぁ．．．。やっぱり、夢の中のように、笑ってる君が好きだ。大好きだ。だから夢の中関係なく、君は笑っていて欲しいよ。

...まぁ、気持ちなんて、一生言えそうに無いけれどね。
早く、夜にならないかな。．．．眠りたい。．．．君に、触れて、恋して、溺れたいよ。