いつも隣で【男性声優】

★料理(安元洋貴) ページ12

『…え…？』

仕事後、帰宅した私が目にしたもの。
それは、

「お帰り。待ってたよ」

テーブルの上にびっしり並べられた料理と、その横でニコニコ微笑むエプロン姿の安元さん。

久々に手料理を作ってくれたみたいだけど、今日は別に誕生日でも記念日でもない。

『…なんで、急に？』

「まあまあ、とりあえず食べて」

彼にエスコートされるように、席に座らされる。
戸惑いながらも、いただきます、と手を合わせた。

テーブルにあるのは、ご飯、ハンバーグ、サラダ、トマトスープなど、私が好きなメニュー。

一口ずつ口に運んでみると、やっぱり最高においしい。

「どう？A」

彼はいつの間にか正面に座っていて、もぐもぐ頬張る私を見つめている。

『おいしいです…!』

それはよかった、と笑う彼に、胸が高鳴った。

・・・

食後、二人でキッチンに並んでお皿洗いをしているときに、改めて尋ねてみた。

『あのー…なんで急にご飯作ってくれたんですか？』

「んー…なんででしょう？」

『へ？なんで……？』

思わぬ返しに何も言えないでいると、彼は手を止めて、私の目を見て言った。

「それはね、Aが好きだからかな」

『………っ…!』

顔がぶわあっと熱くなる。
言った本人が涼しい表情なのがまたなんとも悔しい。

『…なんですかそれ…』

「はは、照れてる照れてる」


…ずるい。

小さく呟いたその3文字は、水音にかき消された。

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