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28日目 ページ8

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ハラさんのご厚意に預かりなんと家に泊めて貰えることになった
レッドもグリーンもハラさんとの話が尽きないようで夕飯中もその後も話し続けていた
私は早々にあてがわれた部屋に引き上げていた
窓辺に机が付いている1人部屋である

『ピカチュウ、10まんボルト』

椅子に座り、昼間のビデオを繰り返し繰り返し再生しながら何を書こうか、何を読者に伝えようか、専用のノートに書き込んでいく
シロガネヤマから続くレッドの取材内容もここに全て書いてある

「うぅん…」

かれこれニ時間は経っているのに書きたいことが纏まらない
ビデオを片手にもう片方の手で頭を抱え込む
微妙に床に着かない足をぶらぶらさせても何も思いつかない

「ピーカ」
「ぐぇ」

ペチ、と小さい手で頬を押され女にあるまじき声が出てくる

「やーめーろー」
「ビィ」

仕返しとばかりにモチモチのほっぺを感電しないように横に伸ばす
そうして癒しを堪能しているとノックの音がした
扉を開くとそこにはレッドがいた

「あれ、ハラさんと話してたんじゃないの?」
「…もう十分話せたから。Aは何してるのかなって」

思って、と肩に登ってきた私のピカチュウを撫でる
その手つきを見ているとピカチュウに向いていた赤い目が視線を合わせてくる
それに少し鼓動が速くなるのを無視して一先ず部屋に招き入れた

「これ…取材の?」

机の上に置きっぱなしだったノートを手に取りパラパラめくっている

「あー…そう、なんだけどねぇ…」

言葉を濁すと何か言いたげにじっと見られる
目線を逸らしてもなお微動だなしない

(圧が、圧が凄い…!)

耐えきれず白状するのにそう時間はかからなかった

「…書きたいことが纏まらない、か…」
「面目ない…」

カシュッ
レッドから貰ったミックスオレのプルタブを引き一口飲むと気付かぬうちに乾ききっていた喉を潤してゆく
月明かりが窓枠に凭れ掛かるレッドを照らしていた

「…僕も、似たことならあるよ」

ポツリと溢れた呟きは本当に小さくて、でもハッキリ耳に届く

「…それは、旅の最中?」
「いいや、旅が終わった直後の話」

ミックスオレの缶を両手で弄びながら言葉を紡ぐ

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よもぎ(プロフ) - 星宙?.*˚さん» 星宙?.*°さんコメントありがとうございます!そう言っていただけて励みになります!更新はあともう少しだけお待ちください!すみません…(汗) (2020年2月2日 6時) (レス) id: 28f740d334 (このIDを非表示/違反報告)
星宙?.*˚(プロフ) - とても面白いですね…!続きが気になります!レッドさんと夢主ちゃんとてもお似合い…!更新大変かと思いますが、頑張ってください! (2020年1月13日 12時) (レス) id: 023b61331c (このIDを非表示/違反報告)
よもぎ(プロフ) - 鈴松しおん@誤字り姫@受験fuc○さん» コメントありがとうございます!レドイエお好きなんですか!同士ですね(・∀・)ニヨニヨ読んでくださりありがとうございます! (2019年12月19日 14時) (レス) id: 28f740d334 (このIDを非表示/違反報告)
鈴松しおん@誤字り姫@受験fuc○(プロフ) - ファー!尊い!レドイエ好きなんだけど夢主ちゃんとレッドも良い!最高っすね! (2019年12月13日 21時) (レス) id: e085487720 (このIDを非表示/違反報告)
よもぎ(プロフ) - エユ(このみ☆)さん» コメントありがとうございます!!そう言っていただけて嬉しいです!これからもっと2人の距離を縮めていけたらなぁなんて考えてますので楽しみにしてください! (2019年8月12日 23時) (レス) id: baad30bb42 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:よもぎ | 作成日時:2019年1月14日 13時

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