18日目 ページ22
“ 今度こそこれで…終わりにしよう ”
私はただただ驚いていた
目の前で滅多にない高度な駆け引きが行われているのだ
バトルは常に相手の動きを予測し考えパートナーに指示を飛ばすことの繰り返しだ
でも目の前で行われているバトルはそんなレベルじゃなくて
「…すご、い…」
思わず言葉が溢れる
いつのまにか足から力が抜け地面にへたり込む
「…ピカチュウ、10まんボルト!」
(これが、原点であり頂点に君臨し続ける者の実力…)
決してサカキが弱いわけじゃない
レッドとの間に明確な力の差があるわけでもない
けどーー
「回り込んで、アイアンテール!」
「ぐっ…!ドンカラス、あくのはどう!」
「ピカチュウかわせ!」
そして
「…ピカチュウ、かみなり」
耳をつんざくような音と共に部屋がまばゆい光に包まれ目が眩む
しばらくして目が見えるようになるとそこには目を回して地に落ちているドンカラスとしっかりと自身の足で立っているピカチュウの姿があった
ゆっくりとレッドが振り返る
「……A」
優しく微笑みながら名前を呼ばれる
「…っ」
「泣いてるの?」
「泣いてっ…ないっ…!」
溢れ出る涙を必死に拭っているとその腕を掴まれ次の瞬間、フワッと抱きしめられた
「っ…?」
驚きで涙なんか引っ込んでった
背中に回っているレッドの手が暖かくて心の底から安心した
「……レッド」
「なに?」
耳のそばで低く響く声にまた少し涙が出たけれどこれだけは言わせて
「ありがとう」
63人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:よもぎ | 作成日時:2017年9月17日 19時