兄 ページ10
学校へ行く準備が終わった私は、今家から出ようとしていた。
「行ってきまーす。」
返事は来ないと分かっているのに家を出る前にはいつも挨拶をしている。
だが、今日は違った。いつもお互いにいないものとしている私の“兄”が珍しいことに自分から話しかけてきたのだ。
「お前、今日の放課後空いてるか?」
「は?」
いきなりの事で驚いてしまった私は、すごく気の抜けた声が出てしまった。
「空いてないんなら、良いんだけどよ……。」
そう、そっぽを向きながら言う兄を見ながら(今日はなんかあったっけな?)と心の中で呟く。
「いや、特にはないけど……」
私がしどろもどろに言うと、兄は目を輝かせて
「じゃあ、今日の放課後に駅前集合な!」
と、自分の言いたいことだけを言ってリビングに行ってしまった。
(何だったんだろう?)と言う疑問を抱きつつ家を出る。
兄弟である私と兄の世界観は、全くと言っていいほどかけ離れていた。
兄は、不真面目で髪を金髪に染めていて他人から見るとガラの悪いヤンキーと言う印象だ。
私は、自分で言うのもなんだけど真面目に見える……と思う。
そんな正反対の私たちがする会話などほとんどなく、私たちは徐々に会話しなくなっていった。
だと言うのに、今日いきなり話しかけてきて放課後の予定を聞いてきたり……。
やはり、私に兄の考えを理解するのは不可能だと感じた。
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一応歌い手の、みにまーむ(プロフ) - あと、名前変換にするなら、ニックネームの欄も作った方が良いと思います。 (2018年3月25日 15時) (レス) id: 69f1870dfa (このIDを非表示/違反報告)
一応歌い手の、みにまーむ(プロフ) - 名前変換できていませんよ? (2018年3月25日 15時) (レス) id: 69f1870dfa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フクジュソウ | 作成日時:2017年5月13日 13時