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髪を結んでいた黒い紐が、Aの手首へと巻き付く。

あの日と同じように、髪が白くなる。


それが、入れ替わりのサインだった。





禅院家で噂になっていたA。


最凶の柚姫を操る少女がいる、と。



乗り移った時は髪の毛は白く染まり、古風な口調。

その姿は平安時代、沢山の人が死んだ昔を想起させる。


そう言ってAを忌み嫌う。




その時代にお前らは居なかっただろ、と真希は心の中で毒づいていた。




実際、変わっていくAを見て真希は息を呑む。




A本人は知らない。


全ての呪術師に課せられている任務。



柚姫が暴走したら少女のことは構わず殺せ。



それは学生の真希たちにも言われていた。




実際は、真希が心配しているようなことは起こらない。



誰も傷付けない、殺さない。

Aの守りたい人を柚姫も守る。


それは、幼い頃のAと柚姫が交わした"約束"だから。





「姫のお出ましか?」





柚姫には特徴がある。


それは、右口角が上がること。

"生きていた頃"から、それは変わらない。



その姿を見た呪霊は、動きを止める。



呪霊の間でも柚姫は有名である。


心做しか顔が青くなっていく。



青くなる顔があることが、少々驚きだが。





「お、準一級か?中々なやつだな」

「後ろもいるし手短に済ませるか」





肩を回しながら呪霊へ近付く。


これは、柚姫にとってお遊びのサインだ。


目の前の準一級は、舐められている。





「なぁ、呪霊。私は呪術界じゃなんて呼ばれていると思う」

「姫だよ、姫」





柚姫の迫力。圧。


柚姫の纏うオーラを感じ、誰も動けない。





「姫を前にして、腰が高いとは思わないか?我より視線が高いのは、許せんのぉ」





急いで腰を低くするが、時すでに遅し。



その時には柚姫が術式を発生させ、呪霊にぶつけていた。


一瞬にして消え失せる準一級呪霊。

そう、準一級だ。





「黒百合はな、我とAしか使えん。Aはまだまだ未熟だから威力はないが…」

「コツを掴めば一瞬だ」





視界の隅で真希が小さく笑う。


とんでもねぇやつ体ん中入れてんな、なんて。





「そんじゃ、後ろの奴は頑張れ。あれは我じゃなくて2人で倒すから意味がある」





柚姫は初めて真希の方を見る。


段々と髪色は戻っている。

Aと入れ替わる前。まだ柚姫の時。




「頑張れ、真希」



柚姫が笑った時、Aは完全に意識を取り戻した。




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設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:kyon x他2人 | 作成日時:2020年11月7日 15時

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