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「あーっ!ただいまって感じするっ」
自室に入った途端、息がしやすくなった。
家も、外も、私の息を詰まらせているが、唯一落ち着けるのは自室だった。
自室だけは誰も気味悪がって近づかない。
唯一、お手伝いさんが一度、廊下前の掃除に来るだけである。
それも私が学校に行っている間に行われるので、私が目にすることはほとんどない。
「白狐、出てきていいよ」
呪術によって出てくる白狐。
これも、この家族が酷く嫌う呪霊だ。
それでも、私の唯一の友達である。
もうずっといるから、何となくの感情はわかってきた。
私といるときの白狐は穏やかで、落ち着いている。
膝の上に乗れるサイズの白狐は、私の膝の上で丸まる。
こうやって見ると、猫と変わらない、可愛い動物だ。
鞄の中から、巾着の形をしたお守りを取り出す。
桃色の巾着から出てくるのは、黒い紐。
__この紐は肌身離さず持ってなさい。
記憶では、父の最期の言葉として受け取っている。
一緒に過ごした記憶はないのに、こういうことだけ覚えている。
都合の良いのか悪いのかわからない頭である。
父の言葉が何だったのかはわからないけれど、教えの通りにずっと持っている。
初めは腕に巻いたりしていたが、そうしていると家の者に変な目で見られる。
お母様には捨てられそうにもなった。
ああ多分、これはこの家にとっては都合が悪いんだな。
私には踏み入れることのできない、この家のタブーなんだと察する。
それでも、私にとっては唯一の家族との繋がりであった。
もう居るはずのない父との約束を守っていたかった。
身につけることはできないが、この巾着のお守りに入れて、ずっと持っている。
椅子の背に身体を委ねると、ゆっくりと、僅かに沈む。
黒い紐を天井の灯りに照らしてみても何も起きない。
この紐が意味することは、未だにわからない。
これからわかる気もしない。
この紐を持っていることだけが、本物の家族との繋がりであり、この家への反抗であった。
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作者名:kyon x他2人 | 作成日時:2020年11月7日 15時