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再び食堂に戻ってくる。
五条先生には何か食べてこい、と言われたけど、適当に誤魔化せないかな。
「んー、ご飯ねぇ」
椅子に座り、ぐーっと伸びる。
誰かと机を囲んで食べるご飯は美味しいのか。
昔、母さんと父さんが生きていた頃は食べれてたのかな。
そんなこと、もう覚えていないけど。
手紙に書いてたよな。
貴方らしい青春をって。
「私らしい青春かぁ…」
「こんぶ?」
「わっ、狗巻くん」
いきなり声をかけられ、反射的に席を立つ。
急に聞こえたおにぎりの具は、狗巻くんで。
多分、何してるの。みたいなことを言いたいのだと思う。
今まで気配とか何も感じていなかった。
狗巻くんが凄いのか、私が考え事をしていたからか。
「ご、ごめん。驚いちゃって。狗巻くんは何してるの?」
そう問いかけると、ふにゃりと笑う。
手元にはおにぎり3つ。
おにぎりを食べに来たのか。
「昼間あんなに食べたのに、まだ食べるんだ…」
一見華奢に見える狗巻くんだけど、結構食べる。
多分、私の倍以上は胃が大きいだろう。
私の前に座り、おにぎりを手に取る。
口パクで、いただきますをする。
大きな口で1口。
かじられたおにぎりを見ると中からはツナマヨ。
普段隠している口元を、何の恥じらいもなく大口を開ける。
これがいい食べっぷり、という事か。
前までは人が食べてる所も苦手と思っていたが、今考えてみると人の食べてる所は案外平気だった気もする。
だから、今こうやって狗巻くんを見れてる。
口をリスみたいにパンパンにして。
私と目が合うと、目を細めて笑う。
食事を美味しそうって思ったことはなかった。
嫌いで、嫌いで、嫌いで。
生きるために大切なことだと分かってはいた。
だけど、結果的に無理だった。
無理だったのに。
「…美味しい?」
「しゃけしゃけ」
目の前にいる君があまりにも美味しそうに食べるから。
前の私なら考えられない。
おにぎりも、ツナマヨも。
誰かとご飯、なんて事も。
「1つ、貰っていいかな」
そんなこと、有り得ないはずだった。
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作者名:kyon x他2人 | 作成日時:2020年11月7日 15時