透明オルタナティブ【呪術廻戦】

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「…誰、ですか」

「質問に質問で返す系？僕から先に質問したんだけどなぁ」





私の目線に合わせるように座り込むその人。



よく見ると包帯で目を隠している。

目が見えないからか、何となく怖い雰囲気。



誰なのか。何者なのか。


世の中には、変な人もいるものだ。





「五条悟。一応、教師だよ」



「…桔梗Aです」

「うん、知ってる」





……は？



随分とサラッと言われた言葉に、耳を疑う。


なんで。なんで私の事なんか知っているの。


教師、と言っていたから学校関係？

でも、問題行為は起こしていないはず。





「なんで、って顔してるね」

「当たり前でしょう。明らかに初対面なのに」

「初対面、か。そりゃそうか」






フッ、と鼻で笑われる。


なんか、腹立たしい。




私は何も知らなくて、不安なのに、目の前の男は余裕そうで。


全てを知ってそうな顔で笑っている。





「有名だよ、呪術界じゃ。あの宿儺と並び、最凶と言われた夜叉、柚姫を封印しているってね」

「なんでそれをっ！」





知っているのか。


本人である私は最近知ったのに、呪術界じゃ有名だったの？

この男は、前から私のことを知っていたのか。



もしかして、私だけ何も知らなかったの。






「何か、知ってるんですか」

「もちろん。だから今、こうして君に話しかけてる」




「……知りたい？君のこと、君の家族のこと」





怪しい、と思う。


名前も職業も嘘かもしれない。



知ってる風に見せかけてただの人攫いかもしれない。



でも、今の私にはこの人に縋るしか方法はなかった。


それ以外の選択肢は見つからなかった。






「知りたいです。私のこと、家族のこと」

「そう言うと思ってた」






立ちなよ、と手を差し伸べてくれる。






世の人は知らない人に着いていくな、って怒るかもしれない。


私を批判するかもしれない。



けれど、私は。





「…ありがとうございます」






この人の手を取った。




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