虎視眈々【 青/桃 】

30.笑う ページ35

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まるで嵐のような彼が去り、
さとみ先輩が此方に駆け寄ってくれた瞬間


どうしようもない程の安心感が私を襲った



「さとみ、先輩」


「ちょ、Aちゃん？大丈夫？」



涙が止まらない


この数十分の間に色々なことがありすぎて
理解がまだ追い付けてない 。



...でも、今何よりも胸を締め付けるのは



「...ころんくんに酷いことしちゃった 。どうしよう、
さとみ先輩...！」


「ころんに、？」



慌てて背中を撫でてくれるさとみ先輩 。


お兄さんみたいで、安心して
思わず先輩に思い切り抱き付いた



「...何しちゃったの？」


「手を振り払って、突き飛ばしちゃった...、でも、
これは本当はっ...」



"私の意思じゃない"


先輩の顔を見て、そう言おうとした



...でも、口が動いてくれない

声が出せない


息が、吸えない



なんで 。



...否、そんなの分かってる




「...っ、」




さとみ先輩が




嬉しそうに笑っていたから



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