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(※ぬるいR-15描写有り)
寝たフリなんてズルいと抗議する私を膝の上に乗せながら騙される方が悪いと返す神威さん。退きたいのに、挟むように腰を掴まれていて退けない。これじゃあ昼間と構図が逆転している。
視線の高くなった姿勢で神威さんを見下ろしていたら、ぐっ、と距離を詰められた。磁石がくっつくみたいに正面から体が合わさり、神威さんの耳元に顔が寄る。こんなに近いと息もしづらい。
「さっきのどういうつもり?」
静かに息をするだけで何も喋ろうとしない私にしびれを切らすと、腰に回っていた手が私の耳をいじり出した。
耳のかたちを確かめるように指を滑らせ、粘土をこねるように耳たぶを触る。身をよじるほどではないけれど、くすぐったい。
「っ、」
「黙ってないで何とか言ったらどうだい」
ある一点を触られた時 びくん、と体が跳ねた。
どこを触られたのか一瞬わからなくて頭に疑問符が飛び交う。
「やめてほしい?」
訊きながらも手を止めることを知らない神威さんは、みだりに同じ場所を撫で続ける。…知らなかった、私 耳の裏弱かったんだ。くすぐったさの中に気持ち良さが潜み、体の奥が熱くなるのを感じた。
止めてほしくてダメ元で必死に頷く私に神威さんは愉しそうに、そしてどこかあざけるように笑うのみ。
これはもう意地悪の度を越している。
年頃の女の子にやったら絶対嫌われるタチの悪さに反抗して口を閉ざしたままでいようとするも今度は反対側の耳まで襲われてしまい、口を開かざるを得ない状況になってしまった。
「…っ やめ、やめて…く」
言葉を言い切る前に、耳の奥へ息が吹き込まれた。
耳を塞ぎたくなるくらいの恥ずかしい声が自分の口から上がり、頭が真っ白になる。
「そんな声出して平気? お侍さん、起きちゃうかも」
私の声よりも神威さんの声に起きそうだけど、上手いこと様子を窺っているようで後ろで動く気配はない。
けど、それも時間の問題。漏れ出てしまう声は神威さんより大きく、一刻も早く耳から手を離してもらわないと変な声を聞かれてしまう。
「A。…ははっ 名前呼んだだけなのに意識しちゃった?」
機嫌が悪くてこんな事をしているのかと思っていたけれど、実はそうじゃないかも知れないと気付く。だって、優し過ぎる。触れ方も名前を呼ぶ時の声さえも。
神威さんの手に自分の手を重ねて、ぎゅっと握る。
「ど、…どきどきしちゃうので、やめてください」
「なら、さっきみたいに求めてみてよ」
なにを、とは訊かなくてもわかった。
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めぐぽん(*´・∀・)(プロフ) - こんにちは!夢主さんが幸せでいられる事を願います。面白かったです。 (6月6日 10時) (レス) @page42 id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)
おふ - 一気読みしました!!(´TωT`)まじ最高でした!!ありがとうございました!!! (2022年9月23日 16時) (レス) @page42 id: 7784361647 (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - うりえルさん» どれも私には勿体無いお言葉ばかりでじんわりきました…( ; ; )たくさんの素敵な小説の中 夢中になって頂けた事、嬉しいコメントも頂けてこの作品を書き始めて本当によかったです…!こちらこそ最後までお付き合い下さりありがとうございました!(*´▽`*) (2021年4月26日 20時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
うりえル(プロフ) - 完結おめでとうございます。まず私はこの作品が大好きです!毎回兎少年と一週間の更新を楽しみにしていました。最後までおいもさんらしくて涙が出てきそうでした。私は初めて夢中になった小説です…もう感謝しきれないほど…。兎少年と一週間制作、誠にお疲れ様でした。 (2021年4月25日 4時) (レス) id: 45d3b70981 (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - 七瀬未来さん» な、な、七瀬さん〜!! ありがとうございます!褒め言葉の胴上げに浮かれてしまいそうになりました…(*´ `*) 更新が止まってしまったりと予定より長引いてしまいましたが最後までお読み頂けてとっても嬉しいです(∩´∀`)∩! (2021年4月21日 2時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おいも | 作成日時:2020年9月18日 1時