十五兎 ページ47
(side 阿伏兎)
目をかけてる女がこつ然と姿を消したとなれば、探しに出るだろうと見越してはいたがこうも早く居場所を割り出されるとは思いもよらなかった。
連れているデカイ犬っころに臭いでも嗅がせてきたか?
「神威さん、どうして此処に…」
「アンタにつけた発信機を頼りに」
「えっ」
「冗談だよ」
仲間でもない女に冗談をふっかけただけでは終わらず、庇い立てるように佇む団長の異様な行動を目の当たりにした団員達は、口を揃えて言う。らしくねェと。
俺達荒くれ者の上司は海賊王のはずだが、今や囚われのお姫様の救出に現れた白馬ならぬ白犬の王子様々だ。
「さて、阿伏兎。計画を立てるのはお前の勝手だけど、最終確認は上司である俺に取らないとダメだろ」
「暫く休むって言ったのはどこのどいつだ」
「あはは。そんな話だったっけ?」
都合の悪い事になるとすっとボケやがって。
だが、今回はそれで流される訳にはいかねえ。
各師団からコトは進展しているのかと毎日ひっきりなしに連絡がくる始末。みてみろ、俺の目の下を。クマできちゃってるからね。
敵さんの尻尾を掴む為には、奥にいる女が必要不可欠。
お気に入りを差し出せと言った所で素直に頷く
退こうとしない団長に女を拐った経緯をあらかた説明するが、そんな事よりも女の方が大事らしい。
適当に相槌をうちながら鉄格子をへし曲げ、女を犬の上へ乗せ上げた。
「こいつを囮に使って敵をおびき寄せる算段なんだ。
阿伏兎にしては随分お粗末な計画だね」
「他に案があるなら聞くが」
「ないけど」
「おい」
「でも、意味ないと思うよ。
こいつが地球でのん気に過ごしてても現れるどころか行動すら起こしてないじゃないか」
「そりゃ四六時中 団長がベッタリ傍にいるからだろ。
敵さんがテメェを捕えた奴の事を忘れるワケねえからな」
「じゃあ俺だって分からなければいい訳だ」
いい案が思いついたのか、ぽん、と手を叩く。
いや、どんだけ女の傍に居てェんだこの人。そう思った奴は他にもいたようだ。同期の奴が声を上げた。
「なぁ、団長。その子の傍に誰かつけてェってンなら、顔を知られてねえ奴をつければいいんじゃないか」
団長の性格上、女が気になるだのなんだと腑抜けた言葉は言い返せないだろう。目を開く団長に、その場の誰もが押さえ込めたと確信した。
…だが「こいつ、俺に惚れてるから他の奴じゃ嫌がるんだ」と、予想外の回答が団長から飛び出した。
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おいも(プロフ) - えりぃさん» コメントを頂いてからお時間があいてしまいすみません( ; ; )少しでも神威さんの良さをお借りできたら、と思っていたのでそう言って頂けてとっても嬉しいです(´ `*)これからも楽しんでもらえるように精進致します…! (2020年9月16日 0時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
えりぃ(プロフ) - とっても面白いです!神威がカッコ良すぎます!続きたのしみにしています(ω) (2020年9月9日 10時) (レス) id: 0b16f52b12 (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - みさまるさん» 引き続き楽しんで頂けていてよかったです(´ω`*) 更新の度になんて嬉しいお言葉まで…( ; ; )疲れがスススッと飛んでいきました…!ありがとうございます(*´ `*)三(*´ `*) (2020年8月16日 21時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
みさまる - 更新のたびに楽しく読ませてもらっています!そして最近の展開にドキドキ(* >ω<)ヤバい〜面白いです!更新ありがとうございます!!! (2020年8月15日 21時) (レス) id: fa0a68f749 (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - しおりさん» ほほ本当ですか…!ありがとうございます!私もコメントを頂けてドキドキしてしまいました…!(*´ω`)少しでも一日の活力の足しになっていましたら幸いです(´ `*) (2020年8月5日 12時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おいも | 作成日時:2020年5月6日 18時